その他諸々の保守と問合せ | 情シスのお仕事(2019年度改訂版)

その他諸々の保守と問合せ | 情シスのお仕事(2019年度改訂版)





対象とする読者

・情シスの作業範囲に疑問を持っている情シス
・情シスはGoogle検索代行じゃねえ!と憤っている情シス
・他社の情シスが何をやっているか気になっている情シス
・情シスが何をやっているか気になる人
話の要点
・情シスのスコープはネットワークが繋がっているもの、パソコンに接続するもの、電気が通っているもの、見解は様々です。
・問い合わせは高次のものから低次のものまで様々です。Google検索代行は承っておりませんが、「バカの壁」を超える努力は時間が惜しいのでやっている場合も。

今回の「情シスのお仕事」はその他諸々の電気が通っているものの保守と問合せを取り上げます。
改めて「情シスのお仕事」で取り上げる弊社情シスの業務範囲を貼っておきます。

ここからは主にネタのような愚痴のような話です。
ただ多くの情シスでこのようなことが行われているのもまた事実です。
どこまでがITか、どこまでが情シスの仕事か」という記事でもいくつか触れましたが、今回は少し細かくお話していきたいと思います。

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情シスのスコープとは

電話回線はネットワークか


情報システム/ITとは何かという定義と情シスのフォローする範囲は少し違います。
代表例が電話やFAXの回線です。

「ネットワークのつながっているものは情シスのスコープ」とすると、電話回線やFAX回線はネットワークと呼ぶべきでしょうか?まさかダイアルアップ接続?そんな馬鹿な。
どちらかというとその逆で、弊社では電話回線はインターネット光回線を利用したひかり電話、FAXはインターネットFAXのため、「インターネット=情シス」ということで情シスのスコープになっています。

事業所開設時にインターネット契約と合わせて光電話を申し込みます。
インターネットFAXがGmailに対応していないため、別途メールサーバーを借りてアドレスを作り、メーラーソフトへの設定手順を作成して配布しています。

また電話回線という意味では携帯電話も情シスのスコープです。
スマートフォン自体既に電話の域を超えた情報端末であり、契約や通話料の管理だけしておけばいいものでは無くなっています。
MDMによる個体管理、アプリ制限、通信量チェックなどは、単に規制をするだけではなく、必要な役割の人に必要な機能を提供して運用をコントロールする意図があります。

こう書くと「それは情シスの作業かもしれない」と思えるかもしれませんが、費用上は通信費と考えると少し釈然としないところもあります。。

複合機、プリンタ(の設定と活用)

複合機でのFAX送受信は行っていませんが、こちらもネットワーク管理が必要な機器です。
ペーパーレス化を推進する上でOCRやスキャンファイルのクラウドストレージ格納等を支える重要なデバイスになります。

総務に任せるとランニングコストが高いからと言って低スペック機に入れ替えられてしまう恐れがあり、結局情シスでの管理になっていますが、印刷用紙やトナーなどの消耗品の調達だけ総務にお願いしています。

USB、BluetoothでPCに繋がれば情シス


TCP/IP以外のプロトコルでの通信を行うもの、例えばUSBでPCと接続できるデジタルカメラやBluetooth接続のスピーカーはどうでしょうか。
USBもBluetoothも通信プロトコルだという認識はあるので、あえて「TCP/IP以外の」を付けさせてもらいました。

これらはTCP/IP通信はしていませんが、今度は「PC周辺機器」という扱いにより情シスのスコープになります。通信していなくてもPCのディスプレイが情シスなのと同じらしいです。
USBやBluetoothで私物を社有PCに接続されても困りますし、個体識別くらいはします。

IoT=情シスでしょ!?

弊社もご多分に漏れずIoTを活用した商品開発とやろうという話もあるのですが、そもそもIoTの知見がある人が現場におらず、こちらも打合せに同席することがあります。
自分たちでわからないものを商品にしてどうやって使ってもらうつもりなんだと思いますが、こちらとしては自社の商品知識を吸収するいい機会と割り切っています。

社屋のセキュリティのためのスマートロックはネットワークを通じて制御できます。
こちらも設置を決めたのは総務ですが、そもそもどこからネットワーク拾うつもりだったんだよみたいな設置個所で計画勧めようとしていたので情シスも関与することになりました。

電気が通っているものたち


ネットワークが通っているものについては、社内ネットワークに未知の機器が接続されても困るし、設定をいじられて使い物にならなくなってから呼ばれてもわからないので、百歩譲って良いとしましょう。
フリーダイアルのガイダンス音声の切り替えやスマートロックが解除できなくなった時の調査が本当に情シスの仕事かは若干疑問ですがまあいいとしましょう。
ただマイクとかスピーカーとかテプラ打つ機械ってさすがにIT関係なくない!?と思います。

電気が通っていないものたち

「会議のありかたを見直すために会議室を改装する」という話が持ち上がり、常設のテレビ会議システムやネットワーク増強、モニターの設置等の話が振られるまではわかります。
机や椅子などの什器や内装って、うちが考えていいんですか?

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問合せ対応について

情シスには社内全体からITに関する様々な問合せが寄せられます。
集まってくる問合せをリテラシーの高さを切り口に区分してみます。

高リテラシーゾーンの問合せ

データの出力・集計・活用について


導入しているシステムからこのようなデータが出力できるか、こういう活用がしたいのだが可能か、というような建設的な問合せです。

「データ出力して条件付けして成形したレポートを毎月作成して送付してほしい」という作業代行的なことは受け付けておらず、システム固有のBIでのレポート作成や、複数システムからデータをCSV等でダウンロードして取込・編集・表示を行うExcelマクロを提供したりしています。

今後セルフBIの展開や複数システムのデータを一元管理するためのデータベースの構築などを計画しています。

セキュリティ規定との整合確認


保有している情報(紙のリストやシステムのデータ)を使ってこういうことをしようと計画しているが、セキュリティ上問題があるか、というような問い合わせもあります。

実施するまえにきちんと確認をとっていただけるのはありがたいですし、確認を依頼してくるくらいのリテラシーの方なので、「それは100%NGですわ」みたいなものもあまりありません。
法律や社内規定だけでなく、心理的心情的な影響も考慮することを心がけています。
「ルールを守っていれば問題ない」だけでは顧客や取引先は快く受入れてくれるとは限りません。社会的なリテラシーに反していれば反感を買い信用を失う可能性もあります。

何でもかんでも規制するわけではありませんが、最低限のルールと実施時の影響を検討するように心がけています。

中リテラシーゾーンの問合せ

システム・デバイス選定に関する相談


システム導入を情シスに相談してくるだけマシじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、「こういうことをしたいんだが、情報システム部門としての見解を教えてほしい」のような積極的な理由で相談される場合と、「稟議書回してもどうせ役員から『情シスに確認したか』と言われるから」という消極的な理由で相談される場合があるので、リテラシーゾーンを中にしました。

前者の場合、「こういうことがしたい」が明確なのでこちらもそれを実現するためのアイディアを一緒に考えることができます。
後者の場合、最悪「役員が承認してくれる稟議書の作成」の代行までさせられそうになりますが、別紙に付ける情シスでの検討結果までで勘弁してもらっています。
というかそういう人の持ってくるものに限って、どういうスコープに対していつまでに何を目指すか等の設定が無いもしくは希薄で、稟議が下りない理由もそういうとこやで、という感じです。

必ず計画通りに進まないにしても、ゴールの設定は必要です。
走りながら考えるのは構いませんが、どこに向かって走っているかわからないのでは、いつまで経ってもゴールには辿りつきません。

こういうのが「要件の言語化ができない」状況なのでしょうけど、トップダウンでない限り「要件の言語化の代行」は受け付けていません。
要件定義も外注すれば費用が発生するコンサル業務です。
社内だからってタダだと思うなよ。

ただ最終的に事業部門が右往左往しているのを見てトップダウンで降りてくるんですけどね。

各種権限の変更等

ActiveDirectoryや各種システムで共有フォルダや可能な処理、データの閲覧範囲について問合せを受けることもあります。

権限や閲覧範囲は所属、職責などにより定められたものなので容易には変更できませんが、よくよく聞いてみると確かに「この情報にアクセスできないのは合理的ではない」という状況も存在します。

「あの人は使えるのに何故私は使えないのか」みたいな言い方をする人は少ないですが、権限の概念を非システム系の方に伝えるのは実は結構難しかったりします。

システムやパソコンの不調・不具合


「情シスなんだから不調・不具合の対応するのは当然だろう、利用者のリテラシーは関係ない」と思われる方、恐らくあなたは情シスを経験したことがありませんね。

「ハード・ネットワーク・ソフトライセンス等について」でも愚痴り…もといお話しましたが、「パソコンの調子が悪い」「ネットワークの調子が悪い」だけで現象が改善できるわけがありません。しかしそれしか言わない人が8~9割です。

こちらから現象の切り分けのための質問をしていくのですが、場合によって「よくわからないからとりあえず見に来て」と言って電話を終わらせようとする人もいれば「これから外出なので戻るまでに直しておいて」と不調箇所すら伝えずいなくなろうとする人までいます。

例えばこれPCではなく車だったとします。
カーディーラーや修理工場に行って「最近車の調子が悪いんだよね~。後で取りに来るから直しといて。」と言ってそのまま帰るとします。
戻ってきた時、車の不調箇所は直っているでしょうか?
プロだからわかるって?
調子が悪いのがエンジンかタイヤかエアコンかオーディオかも伝えていないのに?

PCもネットワークも上記と同じです。
プロだって何が起きているかわからないと調べることはできません。
「調子が悪い」で直せると思うなこの野郎。

低リテラシーゾーンの問合せ

パソコン・スマホ・Officeの使い方


この手の質問で年配の方に多いのが「得意じゃないんだよね~」という言い訳です。

オフィスに1人1台PCが入ってきてから何年経ちましたか?
得意か不得意かで覚える仕事を選んでいいはずはないのに、何故PCだけ許されるのですか?

パソコンやスマホやOfficeの使い方を詳しい人に聞く時代は終わりました。
Google検索にお問合せください。
あなたからの問合せを、私が代わりにGoogle検索しているだけなのです。

そういう人たちがGoogle検索のやり方を知らないわけではありません。
飲み屋とか釣り情報とか、自分の興味があることは検索出来ているのです。
Google検索も検索キーワードを選定するようなテクニックが不要になり、口語レベルで検索ができるところまで来ています。

それでも検索しないのは、システム選定同様「自分が知りたいことを言語化できないから」だと思っています。
専門用語がわからないのではなく、起こっている現象がどういう言葉なら他者に伝わるか考えることを放棄しているだけなのです。

この能力は加齢により衰えるものでは無いと思います。むしろ経験や語彙が豊富になれば言葉はより豊かになるはずです。なのに何故そうならないのか。
これは現代が共通了解を前提とした社会から多様性を認める社会へ変化していく過渡期であり、「全員が同じ情報・認識である」ことを拠り所にしていた世代が一定数残っているからではないかと考えます。

大分話が逸れてきました。もしこうした話に興味があれば、養老孟司著『バカの壁』をお勧めしておきます。
一昔前のベストセラーで、「話しても分からない人は普通にいる」と思えるようになって少しはストレスが軽減されるかもしれません。


 


まとめると「こういう人達は言っても結局やってくれないから、定年してもらうまで待つ方が無難」となります。
もし若手なら腐った性根を叩きなおしてやりましょう。
人に聞く前に自分で調べろ。

経営層からは「問合せ」ではなく「指示」

経営層からも様々な質問や問い合わせがあります。
一部上記のようなものも含まれる場合がありますが、基本的にはITリテラシーの問題というよりは事業運営、経営課題の整理・解決をIT・デジタルで行うための「指示」になります。

次回は「情シスのお仕事」延長戦として、経営に関する支援と、全体のまとめをお話ししたいと思います。
このシリーズもなんとか年内に終われそうです…。

 

 

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