BtoBコミュニケーションでチャットツールを利用する | ビジネスチャット考察(3)

BtoBコミュニケーションでチャットツールを利用する | ビジネスチャット考察(3)

これまでのおさらい

前回までチャットツール自体のメリット・デメリットと、社内コミュニケーションツールとしてのチャットツール利用のお話をしてきました。

今回から社外コミュニケーション、特にBtoBのコミュニケーションについてお話をしていきます。
話題性の高いSlackやチャットワークについてお話をしていきますが、これらのツールは社内コミュニケーションツールとして利用することもできます。
むしろSlackのベースはドメインを指定して利用する社内コミュニケーションツールです。
何故社外コミュニケーションに分類したかは後程お話していきたいと思います。

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BtoBコミュニケーションツールとして

BtoBでチャットを使うメリット

BtoB=企業対企業のコミュニケーションにおいてもチャットツールの利用が拡大してきています。
BtoBでチャットツールを利用する場合に、主にメールと比較した場合のメリットを考えてみます。

<BtoBのチャットツール利用のメリット>
・グループチャットでプロジェクト単位での履歴が見える。
・他の情報と混在して見失うことが無い。
・誤送信(プロジェクト外のメンバーへの送付)のリスクが少ない。
・ファイル共有時にメール送付より容量が大きい
・一度送ったメッセージを修正できるので訂正メールが必要無い

複数の案件を扱っていた場合、社外とのやりとりをメールベースで行うと、仕分けをうまくしていても情報が混在したり、案件単位の情報を追いかけるのが難しいことがあります。
また送付先を間違えたり、送付内容を間違えたりして、その訂正連絡に時間を取られたりします。
メール添付だとファイルが大きすぎる場合、セキュアなファイル共有のために別サービスを利用すると、ダウンロードURLとパスワードを送ったりなど手数がかかります。
チャットツールはこれらを解決することが可能になります。

BtBでチャットを使うデメリット

逆にチャットツールのデメリットを挙げてみます。

<BtoBのチャットツール利用のデメリット>
・双方で利用の合意が必要(利用者の理解、情シスの許可)
・コミュニケーションツールの分散の危険性

チャットツールを使おうとする場合、当然ですが双方でチャットツールを利用する必要があります。
情シスの立場からすると、現場が勝手にチャットツールを利用するのは看過できません。
チャットツールは外部とのデータや情報の授受が可能なツールであり、情シスで管理されていないデータ/情報のやりとりは、情報漏洩、ウィルス感染などのリスクがあります。
有償でセキュアなチャットツールにはログイン管理や行われたやりとりのログ等の取得ができるものもあります。
これらの管理をどちらの責において行うか、正しく管理されていることをどのようにチェックするか等を合意した上で利用を開始するようにしましょう。

情シスの許可がおりても肝心の利用部門が利用に前向きでなければ元も子もありません。
双方が利用内容を理解した上で合意して使い始めるようにしましょう。
その際にコミュニケーションツール毎の役割分担を規程しておいたほうがよいでしょう。
このタイミングではメールで、別のタイミングではチャットで、あるいは電話で、のようにコミュニケーションツールが分散すると、せっかくグループチャットに情報が集約できるというメリットが享受できないばかりか、散在した情報を組み合わせるためにメールだけを漁るより労力がかかる可能性があります。

これらを考慮して利用することで、BtoBコミュニケーションはよりセキュアで円滑に進めることができるようになる、と思います。

「思います」は無責任に聞こえるかもしれませんが、結局「思います」としか言いようがありません。
社内利用にしてもBtoBにしても、チャットツールは「繋がりやすく」て「使いやすい」と利用者が感じるかどうかが定着のカギです。

以前の職場で新たな情報共有ツールが導入された時に、「どうやったらみんな使うようになるか」をグループで検討しました。
その結果、「このツール以外の情報を全部失くしたら、全員絶対これを使うようになる」という結論になり、一生懸命データ投入したのですが、結局使われませんでした。
データ投入中にそのツールが「使いやすくない」ことに気付いてしまったのです。

全環境、全利用者にとって絶対的に利便性の高いツールはありません。
ツールの特性と利用者の状況を含めた利用環境を考慮した上で、ツールを選定する必要があります。

ビジネスチャットの2大トレンドツール

その中でもビジネスチャットの2大トレンドと言われるくらいに利用者数を伸ばしているのがSlackとチャットワークです。
どちらも無料プランがあり、手軽にスタートアップが可能ということもあり、前回紹介したSkypeやハングアウトを追い抜き一躍注目を集めているツールです。
ツールの特性と双方の差異を中心に紹介していきたいと思います。

Slack

アメリカ発のビジネスチャットツールで、様々な外部ツールとの連携が強みです。
メールと連携することでSlackで通常のメールを受信することもできるため、情報の分散を起こさせず、Slackに全ての情報を集約させることができるという強力なツールです。

<Slackの特徴>
・ベースは社内コミュニケーションツール(ドメイン内で利用)
・個別チャット、グループチャット(チャンネル)が可能
・デバイスを選ばない(PC、スマデバ等様々なプラットフォームに対応)
・ファイル共有が容易
・外部ツールとの連携が豊富
・Slackを利用している組織同士のチャンネル共有「Shared Channels」

BtoB利用においてはゲスト招待機能もあるのですが、これはSkype for Businessでも同様なことが可能です。
特徴的なのはSlack同士でチャンネル共有する「Shared Channels」でしょう。
社内利用でSlackを行っている企業同士であれば、操作性や利用方法のオーバーヘッド無くBtoBのコミュニケーションをSlackで共有することができます。
内部用と共有用でチャンネルが分かれるため、セキュリティ的な面での情報分離を達成しつつ、同一のインタフェースからどちらにもアクセスできる利便性を得ることができます。

特に緊密に情報のやり取りを行うような企業や、それこそシステム導入のようなプロジェクトの情報共有には非常に有効なツールになります。

チャットワークス

こちらは日本発のビジネスチャットツールで、複雑なカスタマイズが無い分高度なITスキルが無くても利用できるのが特徴です。
2017年にSlackが日本語化されるまではメニュー等が日本語であることも大きなメリットでした。日本語化されたとはいえ、海外サービスの日本語はわかりにくいものが多く、それと比較すると日本製サービスなのでわかりやすいです。

Slackとは機能的な共通点も多いですが、差異としては以下のようなものがあります。

<チャットワークスの特徴(Slackとの比較)>
・タスク管理ができる
・ユーザー登録/招待にドメイン等の制限が無いので社外コミュニケーションが容易
・既読/未読管理ができない
・外部ツールとの連携やカスタマイズはあまりできない

端的に言うと、SlackはITスキルの高い業種であれば様々なカスタマイズによって単なるチャットツールを超えた効果を生み出せるツールで、チャットワークスは万人が利用しやすく導入しやすいツールです。
社内利用に限定しないユーザー登録方法のため、例えば教育やコンサルなど相手の企業規模を問わず参加いただくことができるのもBtoB利用に向いている点です。
どちらかというと教育サービスやコンサルを行っている事業者のほうからチャットワークスへの参加を打診される、というパターンもあるかもしれません。

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あとがき

「チャットワークスは導入しやすい」とは言いましたが、決してどの環境でも確実に導入に適しているという意味ではありません。
あくまで最大公約数として幅広い範囲をカバーしやすいという意味です。

このブログはよほどのことが無い限り手放しで何かのサービスを賛美したり宣伝したりはしません。
あくまで情シスとしての立場でサービス選定に係るポイントだったり、トレンド製品の概要を紹介はしますが、最終的にそれを利用する利用者や環境によって利便性も効果も異なります。メリットもあればデメリットもあります。

次回はBtoCコミュニケーションの話をする予定ですが、具体的なツールの話は予定していません。
懸案事項と注意点にフォーカスしたお話になる予定です。

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