新しい事務所にインターネット回線を導入する ~MDF、IDF、メディアコンバータ~| 今更聞けないネットワーク機器の基本知識(1)

新しい事務所にインターネット回線を導入する ~MDF、IDF、メディアコンバータ~| 今更聞けないネットワーク機器の基本知識(1)

イントロダクション

このブログでは過去何度かお話してきましたが、私はネットワークとかインフラが苦手分野です。
苦手というか、あまり知識がありません。
アプリ系のSEとして長年やってきていたので、OSよりも上のレイヤについてはある程度自力でなんとかできるのですが、ネットワークとかインフラ周りになると一から調べることが多くなります。

しかし情シスですから主なお仕事にネットワークの保守はつきものです。
自分の勉強も兼ねて、ネットワーク機器について調べていったものを纏めていきたいと思います。

体系だったネットワーク知識ではなく、実事例に沿った説明になります。LANに関することからインターネットに関することまで、「ネットワーク」と名前の付くものは一緒くたになっています。
恥ずかしいのでネットワークに詳しい方、ネットワークエンジニアの方は閲覧をご遠慮ください…。

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ONUとインターネット回線について

新事業所のインターネット回線が必要になった

新しい出先の事務所が開設されることになりました。
それに伴ってインターネット回線が必要ということで情シスの出番となります。

主なミッションはインターネット回線及び電話の開通と事務所内のLANの設定です。
事務所の電気系工事や内装工事の日程と、プレ稼働の日程の間で開通工事を行って、事務所に設置する電話、複合機、パソコン等のネットワーク設定を完了させる必要があります。

今回は社内LANへの接続は不要なのでVPNルーターは不要とのこと。(VPNルーターの話はまた今度)。ただし固定電話と複合機でFAXの送受信を行うため、ひかり電話の回線が必要になります。

基本的な発想は自宅のインターネット開通とかと同じですが、貸事務所(特にビル)の場合そもそも線が来ているかどうかで工事の規模が変わります。また事務所内のどこから配線が出せるかも重要な要素です。

それでは業者が現調した事務所のごく簡単なネットワーク図を元にお話をはじめていきたいと思います。

 

MDFとIDF

とりあえず最初にわからなかったのはMDFとIDFでした。

MDFはMain Distributing Frameの略で、日本語でいうと「主配電盤」、IDFはIntermediate Distribution Frameの略で、日本語でいうと「中間配電盤」と訳されます。

インターネットに接続するためには、当然ながら電柱等に通っているインターネット回線のケーブルを建物に引き込まなければいけません。成端箱は建屋の外から来たケーブルを建屋の中の配線と接合する部分を格納するための箱です。

成端箱から建屋の中に入ってきた配線は、まずはMDFに接続します。MDFは配線を分配することが主目的になります。ビルなどの場合、複数の線が入ってくることが想定されるため、個々のフロアや部屋にいきなり直接線を入れるのではなく、まずMDFで集約されることになります。MDFは本来電話回線の集約を目的としたものですが、光回線もここに集約されることになります。
MDFは回線業者と建屋内との区分を明確にする役割もあります。

IDFはMDFから分岐した線をさらに細かく分岐させるためのものです。ビルなどの場合、各階ごとにさらに部屋が分かれて、部屋ごとに線を引く必要がある場合があります。MDFは建屋に1か所、IDFは各回毎に設置されることがあります(IDFが不要な場合もあります)。

新たにインターネット回線を引く場合、成端箱~MDF~IDFに線を通していく工事が必要になる場合がありますが、貸事務所等の場合、以前引いていた線がそのまま残っていることもあり、その場合工事が短期間で済む場合があります。

MJとMC

MJはなんとなくモジュラージャックだろうと予測ができたのですが、MCが何のことかわかりませんでした。単語が短すぎて検索にひっかけるのも一苦労でした。

MCとはメディアコンバータのことでした。メディアコンバータは異なる種別の線を通信できるように変換する装置です。光回線を使う場合、引き込まれてきている線は光ファイバーケーブルです。伝送方法は名前の通り光です。一方宅内で使用するLANは電気信号です。光信号を電気信号に変換するのがメディアコンバータの役割です。

メディアコンバータと言われてもピンとこなかったのですが、実物を見て「なんだ、ONUか」ということがわかりました。ONU(回線終端装置)は光信号を電気信号に変換する装置です。メディアコンバータと同じ説明にようですが、「メディアコンバータ」は広義には「異なる種別の線を通信できるように変換する装置」であり、対象は光信号と電気信号に限らないため、ONUはメディアコンバータの一種である、と言うことができます。

ONUとホームゲートウェイ

ちなみに「なんだ、ONUか」と言ったものの、今回の場合ホームゲートウェイと言うのが正しくなります。

…メディアコンバータって言ってみたり、ONUって言ってみたり、ホームゲートウェイって言ってみたり、結局なんやねん!という感じかと思います。いや、私もそう思っています。

この辺がネットワーク関係の機器がなかなか覚えられない要因の一つで、広義の呼び方、狭義の呼び方、製品名、使用している技術の違い等により、同じ役割でも呼び方が異なることがあります。

わざと話をややこしくすると、ONUは一昔前であれば「モデム」と呼ばれた装置と同じ役割の装置です。ONUとモデムの違いは、ONUが光回線をLANに変換するのに対して、モデムはアナログ回線(ADSL等)をLANに変換する装置であり、どちらもメディアコンバータに属します。
そして役割が同じなため、ONUを指して未だに「モデム」と呼ぶ場合があります。厳密には違うのですが、通じるのでOKというパターンです。

余談はこの辺にして、ホームゲートウェイの説明です。ホームゲートウェイはONUとひかり電話用のルーターが一緒になった機械です。入ってくるケーブルは1本なわけですから、わざわざ機械を分けるのが面倒なので1つの機械の中で両方やってしまいましょうのということです。
今回はひかり電話を利用することになるので、この機械はホームゲートウェイということになります。

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あとがき

こんな1枚のペラペラの資料でも、正しく理解しようと思うとこれくらい調査することになりました。
しかもここまでの内容で解説できたのは、事務所にインターネット回線を引きいれるところまでです。まだオフィス内の配線の話にはたどり着いていません。

「たかだかインターネット通すだけでしょ」と思われるかもしれませんが、一般家庭にネット回線を通すのとはわけが違います(今回の内容はマンションタイプのインターネット接続であればほぼ同じですが)。

次回はオフィス内の配線についてお話していきたいと思います。

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