イントロダクション
掲題の件、色々大変だったと思いますがご苦労様でした(まだ過去形ではないかもしれませんが)。
2018年5月末より発生したWindows10の大型アップデートの影響で、パソコンのデスクトップがゴミ箱1つだけにされた方、エクスプローラーやWebブラウザが落ちまくった方、SSD搭載パソコンでOSクラッシュされた方、共有フォルダが見れなくなった方、そしてその人たち全てからの問合せに対応された方、本当にご苦労様でした。
特に発生初期は情報が少ないため原因も対策もわからず手の施しようが無いのに「業務が止まってるんだ!早く何とかしてくれ!」一点張りの業務部門からの要請に、やり場のない怒りを感じたりプレッシャーで落ち込んだり色々あったものと思います。
本ブログは「情シスHack」、情シスさんの味方です。
何の慰めにもならない、ただ傷を舐めあうだけになるかもしれませんが、社内の誰も正確には理解してくれなかった今回の問題について、情報共有と事例展開という名のもとに、悲惨だった体験談をお話していきたいと思います。
カテゴリを「PC」「ソフト(OSはソフトなので)」「よもやま話」のどれにしようかと思ったのですが、パソコンのリカバリ等の話になるので一応「PC」に分類しています。
ですが情シスや社内SEへの転職を意識されている方には、明るい未来だけではない現実の有様もキチンとお知らせしたいという「よもやま話」的な思いも込めた内容になっています。
「WindowsUpdateくらい事前に防げるだろ」と思っている非情シスの方々。
皆さんが思っているほど現実は甘くないのです。
Windows10の大型アップデートとは
1年に1~2回行われる大規模な機能強化・修正のリリース
Windows10は「Windowsの最終バージョン」です(だそうです)。
これ以降Windowsの次期OSはリリースされません(だそうです)。
(だそうです)というのは「Microsoftさんがそうおっしゃっています」ということです。
まあどこかで話が変わったとしても誰も不思議に思わないですが…。
それはさておき、Windows10は最終バージョンではありますが、日々アップデートされています。WindowsUpdateはこれまでのWindowsOSでも行われていたので特段不思議な話ではありませんが、Windows10の特徴が「大型アップデート」です。
日々のアップデートでは小規模な修正やセキュリティパッチが行われますが、1年に1~2回の大型アップデートは大幅な機能強化や機能変更が行われます。
「大型」というのがどれくらい大型かというと、アップデート機能強化が行われる前までで約3GB、機能強化後でも約1GBという巨大なファイルが、インターネットを経由してアップデートされてきます。
ネットワークトラフィックにもダメージ
1GBというと、概ね2時間映画の動画1本分くらいのサイズです。動画のネット配信が盛んな昨今であっても、ストリーミング配信で2時間かけて配信されるサイズのファイルを、ほぼ何の予告も無しに送りつけてくるわけですから凄まじい話です。
企業の場合、1事業所内にこの1GBのファイルを受け取るパソコンが数十台~数百台あります。これらが同時にアップデートファイルを受信しはじめると何が起こるか。
全くの無策の場合、まずネットワーク全体の速度が遅延しはじめます。
インターネットにつながらない、社内システムやファイルサーバにつながらない。
ボトルネックがインターネット回線側の場合もありますが、上記のような場合社内ネットワーク内のどこかが詰まっていることが考えられます。
最終的にマシンに接続しているハブに同時接続しているパソコン台数の問題、ハブ自体の規格の問題、無線LAN化していればアクセスポイントの接続台数の問題。
無理やり好意的に捉えると、強制的にネットワークの負荷試験をしてもらっている感じです。
これはアップデートなのか?別バージョンのOSなのか?
メジャーアップデートの問題は強化される機能が時として非常に大規模な機能の変更を伴うことです。
細かい機能が追加される、UIが変わるというだけでも影響はありますが、根本的な動きが変わる場合もあります。WindowsXPのサービスパックやWindows8→8.1の時のような変更です。それが1年に1~2回行われますから、2年も経てばもはや別のOSといっていいくらい環境が変わります。
そのため未評価でいきなりアップデートを行うと、ソフトの挙動が不安定になったり、動かなくなったりします。
ソフト側だけでも十分迷惑なのですが、ソフトの影響によりOS側が不安定になる場合もあり、こうなると1ソフトだけの問題ではなくなります。
はっきり言えば、以前のバージョンのアップデートと比べるとかなり荒っぽいです。
アップデートを完全に拒否することは許されない
これだけ影響があるアップデートですから、アップデートせずに塩漬けで運用する、という方法も過去には存在しました。アップデートしないとセキュリティに問題がありますが、動かなくなるよりはまし、という判断をされることも無きしもあらずでした。
しかしWindows10は最大1年の猶予期間を超えてアップデートを遅らせることが不可能になりました。
OS自身の問題やパッケージソフトについては、不具合対応のパッチやアップデートが配信されるようになりますが、それこそフルスクラッチで開発したシステムが影響を受けたりした場合、1年以内になんとかしないといけなくなるのです。
以前のバージョンのWindowsのサポートはどんどん終了していく
「そんな怖いOS使いたくない!」という思う方も多いと思いますが、さらに追い打ちをかけるように現在サポート(セキュリティや不具合対応のアップデートリリース)が行われているOSのうち、Windows7が2020年1月に、Windows8.1が2023年1月にそれぞれサポートが終了します。
またWindows10自身も、大型アップデートのバージョン毎にサポート期間が設けられており、大型アップデートを当て続けていかないとサポートが受けられない仕組みになっています。
つまりWindowsを利用するのであれば、是が非でもWinodws10に移行して、大型アップデートを当て続けていかないといけない、というのが現在のWindowsOSの利用のイメージなのです。
これまで「推奨」だったことを額面通りにやらないと運用できない
UIはWindows8シリーズと比べるとやや7寄り(スタートボタンメニューの復活等)で比較的評判は良いのですが、アップデートすると不具合が起きたり、ネットワークトラフィックを占有したりと、これまでのOSと比較すると運用面で非常に扱いづらくなった印象があります。
例えばWSUSによるWindowsUpdateの計画配信やパソコンの定期的なバックアップ、リカバリイメージの作成等です。
これまでも少なからず影響があったので「推奨」はされてきていましたし、ある程度スキルと知識のある方にとっては当然だったこれらのことが、Windows10では「やらなかったら運用できない」レベルにグレードアップしています。
「これまで言い尽くされてきたことなのに、やっていないお前らが悪い」と言われればそこまでなのですが、早急な展開についていくことのできないユーザーも中にはいると思います。そしてそういったユーザーが、大型アップデートの度に餌食にされていっているのです。
中締め
今回はWindows10の大型アップデートの概要だけで終わってしまいました。
次回からいよいよ今回の大型アップデートで起こった事象と、現在判明している対応策についてお話していきたいと思います。
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