回線業者とは?プロバイダとは?違いと得する選び方を紹介 | 今更聞けないネットワーク機器の基本知識(7)

回線業者とは?プロバイダとは?違いと得する選び方を紹介 | 今更聞けないネットワーク機器の基本知識(7)

イントロダクション





企業のインターネット回線やプロバイダは見直す機会の少ないものの一つではないかと思います。
よほどに通信品質が悪かったり特定のサービスを利用したいと思う機会が無いと、固定費としてもそこまで大きくないし、入替工事の手間のほうが大きいので据え置きというところも多いのではないでしょうか。

NTT東西のフレッツADSLサービス終了と言われてタイミングで一度見直したけど、結局フレッツ光へ移行しただけというところもあるでしょう。
拠点間VPNの関係でフレッツ以外の選択肢が無いと考えておられるところもあるかもしれません。

インターネットへの接続形態が有線から無線へ移行していっているとはいえ、法人利用となると纏まった端末台数からの接続にはまだまだ有線が適しています。
また個人利用の場合も無線LANルーターを中継させて宅内で有線/無線を併用でき、スマホやタブレットの通信費を抑えることもできます。

インターネット回線(光回線)については企業と家庭で求める品質、価格、用途が異なるかもしれませんが、基本的には「安定した通信速度が出て」「費用が抑えられる」ことが一番の基準でしょう。

それではそもそもインターネット回線やプロバイダとは何なのでしょうか。
フレッツを利用されている方であればNTTへの回線料金と、別途プロバイダ料金を払っていると思いますが、何故別々なのでしょうか。
このあたりの仕組みも含めて仕組みや背景、得する選び方などをお話ししていきたいと思います。

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回線業者とは

回線業者=光通信網を持っている業者(インターネットには繋がらない)

光回線の代表的なサービスにNTT東西が提供している「フレッツ光」があります。
フレッツ光はフレッツ網と呼ばれるNTT東西各社内のみ広域ネットワーク網を利用します。
フレッツ網自体はインターネットではなく、あくまでフレッツ網内の通信しか行えません。
家庭や企業の宅内に入ってくる光ファイバーケーブルは最寄りの電柱等まで来ているケーブルから分岐させて引っ張ってきます。

「NTTのフレッツは嫌だ!別の会社にしたい!」と言っても、「最寄りの電柱まで来ているケーブル」が無ければ回線を引くことは困難です。
そもそも光回線を保有している業者は非常に少なく、その中でNTT東西は断トツのカバー率のため、場所によってはNTT一択という場合もあります。

「最寄りの電柱まで来ているケーブル」は近隣の基地局から敷設されているケーブルで、所謂「ラストワンマイル」と呼ばれるものになります。
いかに快適な通信環境を提供できるとしても、最後は利用者のもとまでケーブルが届かなければ意味がありません。

光回線を保有している業者は大きく4つ

光回線を保有している業者(及びグループ)としては大きく4つあります。

・NTT東日本/西日本
・KDDI/電力会社系(PNJグループ)
・アルテリアネットワークス(有線放送)
・J:COM(ケーブルテレビ)

NTT東日本/西日本


NTT東日本/西日本(以下NTT東西)についてはあまり説明はいらないと思います。
電電公社から続く社会通信インフラを持っており、光ケーブルもその一つです。
提供している「フレッツ光」はほぼ独占状態といってもいい状態で、使っていないケーブルの貸出を義務化されたりしており、実際後述の「auひかり」や「UCOM光」の一部はNTTの光ケーブルを利用しています。
また「ダークファイバー」と呼ばれるNTTが保有する予備の光ケーブルをそのまま借りて事業を行っている事業者もあります。
代表的なサービスはSo-netの「NURO光」で、関東、近畿、中部のみで展開されているサービスになります。
法人向けでは「USEN GATE02」なども一部でダークファイバーを利用したサービスを展開しています。

KDDI/電力会社系(PNJグループ)

KDDI/電力会社系グループは「PNJ(パワー・ネッツ・ジャパン)グループ」とも呼ばれています。
提供しているサービスとしてはKDDIの「auひかり」の他に関西地方ならケイオプティコムの「eo光」、中部地方なら中部テレコミュニケーションの「コミュファ光」などがあり、主に電力業務用の光ファイバーを利用した通信網を利用しています。
KDDIが電力会社系に分類されるのは、東京電力系の東京通信ネットワークという会社を吸収したパワードコムという会社をさらにKDDIが吸収したためです。

アルテリアネットワークス

アルテリアネットワークスは有線放送網を利用しています。
提供しているサービスとしては「UCOM光」があり、法人向けの専用線などのサービスも展開しています。
個人向けは都市部のマンションなどを中心にサービスを展開されていますが、カバーエリアが狭いのと戸建のプランが無いのが弱点です。

J:COM

ケーブルテレビ系の通信網を利用しています。
提供しているサービスは「J:COM光」です。
シェアは4つの中で最も低い状態です。
アメリカなどでは回線のほとんどをケーブルテレビの会社が保持していますが、日本のように無料の地上波放送ではなくケーブルテレビがメディアの中心という環境の違いによるところが大きいでしょう。

「フレッツ光が遅い」と言われる理由


強者が叩かれるのは世の常ですが、「フレッツ光の通信速度が遅い」というのはよく耳にします。

これにはいくつかの構造上の理由と、利用サービスの特徴が影響しています。

ベストエフォートとは

そもそも多くの光回線は「ベストエフォート型」という方式で提供されています。
これは1本の光ケーブルを複数の利用者で共有するので、同時に利用している人数によって通信量≒通信速度は変動するという方式です。
「最大1Gbps」の「最大」とは、「誰も使ってなければ1Gbpsの帯域全部1人で使うことも(理論上は)可能です」ということを意味します。

ベストエフォートの最大1Gbpsで本当に1Gbpsの速度が出ることはほぼありません。
これはフレッツに限らずどの業者でも同様です。
ちなみにベストエフォート以外では「帯域保証」だったり「ギャランティ」という名称で帯域を占有できるサービスもあります。

1Gbpsのケーブルが32分岐している

フレッツ光の光ケーブルは基地局内で4分岐、基地局外で8分岐の計32分岐しています。
ベストエフォートであれば1本の光ケーブルを32箇所のユーザーで共用することになります。

ちなみに1本のケーブルの伝送量は1Gbpsです。
「フレッツ光ネクスト スーパーハイスピードタイプ隼(ファミリー・マンション)」の場合、1ユーザーの最大伝送量も1Gbpsです。

1Gbpsのデータ通信を許可された32ユーザーが1Gbpsのケーブルめがけて通信してくるとどうなるでしょうか。
間違いなく大渋滞になります。

もちろん全ての分岐回線が使われているとは限りませんし、利用者が全て1Gbpsの通信を行おうとしているとは限りません。
個人利用者しかいないのであれば時間帯や曜日によっては高速で通信することも可能でしょう。
しかし同じケーブルの中に法人ユーザーがいたりすると結構な通信量になるかもしれません。

出口(相互接続点:POI)が狭い

後述するプロバイダの装置へ接続するために、閉域網であるフレッツ網から外へ接続しなければいけません。
この時に通過するのが相互接続点(POI)と呼ばれる場所です。

上記の図を見たらわかるように、プロバイダへの接続はPOI1点に集中します。
ここがボトルネックになり、通信が渋滞を起こすのです。

POIはNTT側の装置のためプロバイダでは増設や増強を行えず、NTTに要請をしているけどなかなか間に合わない、というのが遅くなる原因になっています。

NTTの怠慢のように言われることもありますが、日本に存在するプロバイダは日本インターネットプロバイダ協会の正会員だけで150社、総務省へ届け出が出ている業者数は数千社にのぼります。
実際に営業している企業数はそこまでではないかもしれませんが、それでもかなりの数の業者の対応が必要になります。

結局一番の理由は「混んでいる」

と、珍しくNTTを擁護してみましたが、フレッツADSLの終了で脅しをかけてフレッツ光に一気に顧客を移住させた結果トラフィックが想定以上になったのは自業自得とも言えます。

またフレッツ網を利用したサービス「光コラボレーション(以下光コラボ)」もフレッツ光のインフラに乗ってきたので、フレッツの回線を利用している利用者数はさらに膨らんでいます。

ちなみに光コラボには、「ドコモ光」とか「BIGLOBE光」のような、今まで回線業者でなかった事業者名が付いた光回線がだいたい該当します。
面白いのは「ソフトバンク光」もフレッツ回線を利用した光コラボ回線です。
ソフトバンクもADSLの頃はYahoo!BBがインターネット回線を席捲していましたが、「Yahoo!BB光」でコケて以降はどちらかというとプロバイダとしての事業が主になっていました。
とはいえ日本テレコム以来の鉄道通信回線も持っているはずですが、もはや自主回線に拘らなくなったのでしょう。

「NURO光」は2.4Gbpsの回線をフレッツと同じく32分岐しているので、(理論上は)フレッツの2倍以上速いとされていますが、利用者数がフレッツと比較して少ないので光回線を占有できる割合が大きいということも体感速度の速さを後押ししていると言えます。

フレッツ以外を選んだほうが速い…とも言えない

32分岐させられるしPOIは増強されないし利用者は多いし、フレッツなんか速度が出るわけがない!と決めつけるのも早合点です。

冒頭でもお話したようにラストワンマイルに最も強いのはNTTであり、他社を利用しても結局宅内に引く光ファイバーはフレッツの線かもしれません。
分岐の問題も運次第と言ってしまうとそれまでですが、さほど影響のないところも多いですし、POIの増強は順次進んでいくでしょう。

大体他社の回線についても、電力系もソフトバンクも遅いとか速いとか様々な情報が飛び交っていますし、どこの回線であってものべつ幕無くどこでも遅いというのではなく、特定の地域や時間帯などに限定された問題です。
もちろんそれが自社や自宅に当たってしまうと不幸なので、できるだけ品質の良い回線を選びたいのですが、最終的に「ベストエフォートなので」という理由に集約されてしまいます。

業務上常に同じ速度域での通信が必須のような法人であれば、ギャランティや帯域保証の回線がありますが、ここでいう「業務上常に同じ速度域での通信が必須」とは、多数のIoT機器と24時間定期的に通信の授受があったり、社内に公開Webサーバやプライベートクラウドを構築していたりのような環境を指します。
決して「通信速度が出ずにWebページが開かずイライラする」の解消を目的としたものではないので注意が必要です。

プロバイダ(ISP)とは

光回線をインターネットに接続してくれるサービス

ここまで光回線の話だけをしていましたが、これだけではインターネットには繋がりません。
光回線はあくまでエンドユーザーをインターネットへの接続点まで繋ぐための「回線」でしかなく、極論を言えばLANの延長です。

宅内や社内からの出口にホームゲートウェイやルーターがあるように、インターネットへの接続にはインターネットサービスプロバイダ(ISP、以下プロバイダ)が必要です。

プロバイダを選択しない回線もある

前述のフレッツ光の場合、「OCN」「So-net」「BIGLOBE」「ぷらら」といったプロバイダと別途契約が必要ですが、例えば電力系やアルテリアの場合プロバイダの契約は別途ありません。
これはプロバイダが不要ということではなく、光回線とプロバイダまで込みのサービスになっているためです。

アルテリア等の場合、プロバイダ装置が自社であることからPOIによるボトルネックが無いということを売りにしたりしています。
また一括料金なので総額がわかりやすいのもメリットです。

しかしもちろんデメリットもあります。

プロバイダによっても速度は変わる、サービスも変わる

前述のフレッツ光の場合のプロバイダは所謂専業業者です。
保持している機器、バックボーンのネットワークなどは充実しています。

先ほどは回線側のネットワーク速度の話をしてきましたが、当然プロバイダ側の設備によっても通信速度は変わります。
また複数のプロバイダが選択できる環境は競争原理が働き、他社にないサービスや特典がついたりします。

また前述の回線+プロバイダ一体と比べて価格が比較されることも多いですが、実際にフレッツ+プロバイダと比較しても総額としては遜色ありませんし、利用年数が長くなるとこちらのほうが安くなる場合もあります。

一度選択するとあまり変更する機会の無い回線とプロバイダですから、継続して安くなる方を選んだほうがお得と言えます。

得する選び方

フレッツと同じインフラなのだから光コラボでも速度は変わらない

あれだけフレッツ光が遅い原因を説明しておきながら、結局最終的にはフレッツ光を選択することになるのも皮肉ですが、NURO光やアルテリアはサービス提供地域や提供形態が限られるため絶対に使えるわけではありません(使えるのなら使いたいですが)。

そうなるとフレッツ光とKDDI/電力会社系の二択になります。
速度については正直場所と時間によりけりになるので、後は「お得感」の差になるかと思います。

ちなみに光コラボについて「速度が出にくい」というような話もありますが、使っているインフラはフレッツと同じなので、同じ個所で計測して速度の違いはほぼないはずです。
もし違うのであればプロバイダの違いや計測時の回線占有率の違い等、他の要素による影響でしょう。

携帯電話の利用料を安くすることができる

KDDI/電力会社系は説明するまでも無くauの携帯とセットで割引があります。
光コラボであればドコモ光がdocomoの携帯、ソフトバンク光はソフトバンクの携帯で割引があります。
またNURO光はソフトバンクの携帯の利用料割引を受けることができます。

他にもMVNOと言われる格安スマホ業者でも光回線とスマホでの割引をやっています。
ただしMVNOのNUROモバイルはNURO光と連動した割引はありません。

これらの割引は個人だけでは無く、契約によっては法人で受けることもできます。
会社で社有携帯を一括契約している場合、携帯キャリアの割引が受けられる回線を利用することで大きな費用削減に繋がります。
光コラボでもフレッツVPNワイドは使えるので、VPNを利用している法人でも光コラボを利用することができます。

個人や個人事業主なら代理店のキャッシュバックも魅力

また法人の場合あまり影響は無いかもしれませんが、個人や個人事業主であれば代理店からのキャッシュバックも魅力ではないでしょうか。
携帯ショップが「今ならMNPで〇万円キャッシュバック!」とやっていたように、光回線の代理店もこうしたキャッシュバックキャンペーンを行っています。

どうせならさらにお得にできたほうが良いですし、利用できる回線の品質に影響があるわけではありませんから、貰えるものはもらっておきましょう。

お勧めの回線

ドコモ光



光コラボでドコモの携帯利用料が最大3,500円安くなります。
利用回線はフレッツ光と同じになるのでインフラとしても問題ありません。
そのため現在フレッツ光を利用している場合工事の必要がありません。

光コラボはフレッツ同様プロバイダの選択が必要になります。
選択できるプロバイダはOCN、So-net、BIGLOBE、Plalaなどメジャーどころが揃っています。
プロバイダについてはこれらの中から選択するのが無難かと思います。

ソフトバンク光




こちらも光コラボでソフトバンクの携帯利用料が家族それぞれで1,000円安くなります。
プロバイダはYahoo!BB一択になります。
こちらも実績のあるプロバイダですので問題無いかと思います。
またプロバイダを個別で契約する必要がありません。

携帯もそうなのですが、ソフトバンクはとにかくキャッシュバックや特典が豊富です。
家族でソフトバンクを利用している場合などお勧めです。

NURO光



提供地域は限られますが、速度も費用も魅力のNURO光。
利用されるのはNTTのダークファイバ(未使用の光ファイバー回線)です。

So-netが運営している回線のため、プロバイダもSo-net一択です。
ソフトバンク同様プロバイダの個別契約はありません。
NURO光は「NURO光でんわ」というサービスを付けることでソフトバンクの携帯利用料を1,000円割引することができます。

実測でもかなりの速度が出る回線のようですので、利用できるエリアの方にはお勧めです。
法人向けの「NURO Biz」というサービスも開始されています。

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まとめ

結構な長さになったのでまとめておきます。

・光回線だけではインターネットに繋がらない。
・光回線の回線事業者は大きく4つ。
・「フレッツ光が遅い」と言われる理由は色々あるが、結局ラストワンマイルのカバー率がものをいう。
・プロバイダは回線事業者のネットワークからインターネットに接続するためのサービス。
・色々ひっくるめると携帯料金が安くなる光コラボがお得。エリア内ならNURO光がお勧め。

法人だけでなく、個人回線を検討されている方も是非ご参考にしていただければと思います。

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