移行性から見たGSuiteのデメリット | 非機能要件で見るGSuite(3)

移行性から見たGSuiteのデメリット | 非機能要件で見るGSuite(3)

前回のおさらい

非機能要件を切り口にGSuiteのメリット/デメリットを考えてみる話の3回目です。
前回は非機能要件から移行性の面でメリットを検討してみました。
以下3点をメリットとして取り上げました。

・サービス立上げがスピーディ
・移行が容易
・並行運用が可能(Gmail)

今回は移行性のデメリットをメインに比較を行ってみたいと思います。

ちなみにGSuiteの機能的な話やTipsと、非機能要件についての話はこちらにまとめています。

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GSuiteのメリット/デメリット:3回目

GSuiteの移行性(デメリット)

今回は以下の表の背景色が黄色の部分のお話です。

表1:GSuiteの非機能要件から見たメリット/デメリット

メリット デメリット
可用性 ・365日24時間提供のクラウドサービスであり、停止の心配はほぼ無い。
・サポートが365日24時間実施される。
・機能単位でのトラブル(停止ではない)が時折発生するが、復旧目途がわからない。
性能・拡張性 ・ネットワーク速度以外の理由で性能が低下することはほぼ無い。利用者の増減による性能変動を考慮する必要が無い。
・ユーザー数の増減に対してアカウント数をフレキシブルに調整できる。
・性能面に関する拡張は不要だが、利用者数の増加=アカウントの追加が必要。アカウント数が増えるほどランニングコストは増加する。
移行性 ・ドメインさえあればフルサービスが揃った状態でサービスが開始できるので、導入・立上げが非常に速い。
・他のメールからGmailにメールを移行したり、ドキュメントをGoogleドライブに移すことは可能。
・既存メールサービスと並行してGmailでメールを送受信させることもできる(「他のアカウントでメールを確認」)ができるので、移行期間を設けることができる。
・Google関連サービスに関するある程度の知識があれば立上げはスムーズだが、懇切丁寧なマニュアルは無いので知らない人には一から理解してもらわなければいけない。
・システム管理者での一括でのデータ移行はできない。個々の利用者にて移行を行う必要がある。
・「他のアカウントでメールを確認」は元のメールサービスに対して定期的な問合せをかけるため、受信にタイムラグが生じる場合がある。
セキュリティ ・Gmailのセキュリティレベルが高い。
・通常使われているデバイス以外からのログインの検知や二段階認証等により外部からの侵入に対しては高いセキュリティを持っている。
・IP制限やデバイス制限ができず(モバイルを除く)、内部統制には他のサービスの併用が必要。
システム環境・エコ ・災害等に対しては複数サイトでの管理により十分な継続性が確保されている。 ・インターネットを経由したサービスなので、データセンターや企業側以外の災害(ネットワーク等)により使えなくなる場合はある。

デメリット:懇切丁寧なマニュアルは無い

GSuiteには所謂マニュアルはありません。もちろんGoogle検索をすればGoogle公式のものから個人が書いたものまで、様々な情報が手に入りますが、「まずはこれをやって、次にこれをやって」のような懇切丁寧なものは基本ありません。

非機能要件の移行性「研修計画」の話と照らし合せていただきたいと思います。通常のシステムではこれは結構由々しき事態です。

しかし他のシステムと大きく違う点は「提供されているのは無料のGoogleサービスと基本的に同じもの」であることです。つまり全員が全員手取り足取り教えてあげなくても、ある程度使いこなせる人がいるのです。

GSuiteの導入と同時に最大限の効果が発揮できる環境があるとすれば、ある程度以上の高いITリテラシーを全社員が均一的に持っていて、Googleサービスを既に使いこなせている、100名以下くらいが同じ場所に集まっている団体じゃないかと思います。
つまり、マニュアルめいたものが無くても勝手にGoogleのサービスを使いこなし、リテラシーに基づいた運用ルールが自然発生的に構築され、管理者が全員の動きを把握できるくらいの規模であれば、GSuiteは他のどんなサービスよりもスピーディにそして最大限にその効果を発揮できるでしょう。

しかし世の中そんな団体ばかりではありません。
GSuiteに最も適していないのは上記の逆のパターンということになります。
つまり、Googleのサービスを使いこなせる人が10%にも満たず、運用ルールは提示されたものを最低限守ることができるレベルで、管理者が全体を把握できない(人数が多い、ロケーションが分散している等)ような状況だと、GSuiteが効果を発揮するためにはかなりの時間と労力を要することになるでしょう。

デメリット:システム管理者での一括でのデータ移行はできない

メール移行にしてもドキュメントにしても、移行は基本的にユーザー単位の設定です。
管理者が旧システムからデータをエクスポート/インポートで一気に載せ替えることは基本的に難しいです。

もちろん100%不可能ではありません。
ドキュメントについては管理者がすべてのチームドライブのメンバになって、旧システムから出力したドキュメントをアップデートすることは理屈としては可能です。

しかしメール設定については、1アカウントずつログインして、Gmailの設定画面を開いて、現行メールサーバの情報を設定して…という手順になるため、全社員分を1人もしくは少数の管理者で行うのは結構大変です。アカウント数が少なければあるいはそこまでではないかもしれませんが、アカウント数が増えるほど手間は増えます。
結局移行手順を作成して配布して各自で移行してもらうということになります。
先ほどの話に戻りますが、GSuiteには懇切丁寧なマニュアルは存在しません。
ある程度全員がわかるレベルの手順をがんばって準備しても、利用者のITスキルによっては移行のサポートにかなり時間を費やすことが想定されます。

情シスさんなら経験があると思いますが、手順書は必ず読んでもらえるわけではありません。手順書を読まずに「わからない」と言い出す人は一定数いるのではないでしょうか。
またある程度以上の役職者になると、「パソコン設定=雑務」として部下に頼むことが多いのではないでしょうか。それを誰がサポートするのか。各部門で対応できればいいですが、最終的にお鉢は情シスに回ってくるのではないでしょうか。

GSuiteの移行性は利用者のITスキルに依存するところが大きいと言えます。
私は元SEで、前職の社内は当然一定以上のITスキルを持った技術者ばかりでした。
そういう環境にいる人が思っている以上に、一般企業のITスキルはさほど高くありません。

GSuiteで提供しているのはGoogleの無料サービスと同じですから、ググれば解決策はゴロゴロ転がっています。それができないのは検索スキル自体の問題ではなく、「自分で調べてみる」という習慣の有無と、ITスキルの習得に対する姿勢の問題ではないかと思います。
自分が関心のあることであれば調べられる人が、パソコンやシステムについてはそれをしようとしないのは、「ITは情シスがやるもの」として自分事と捉えていないからではないでしょうか。

話が脱線してきたので、今回はこの辺にしておいて次の項目に行きましょう。

デメリット:「他のアカウントでメールを確認」の受信にタイムラグがある

これは自社での実体験なのですが、移行に際して「他のアカウントでメールを確認」を設定したところ、Gmailにメールが届くのが、現行メールと比較して最大で30分くらい遅い状態でした。
これはGmailが現行メールサーバに「定期的に」メールを受信しにいっているからで、そのサイクルがパソコンローカルのメールソフト等と比較すると遅いために発生しました。

お客様や取引先、社内の場合も、「今メールした件だけど」という電話はわりとよくかかってきます。この時にメールがまだ手元に無いことがあるのです。
結果現行メール側でメールを確認せざるをえず、なかなか完全な切り替えになりませんでした。

前回の話の際に「Gmail(というメールソフト」という文言を使ったのはこういう意味です。「他のアカウントでメールを確認」はメール受信周期が遅い外部メールソフトとしてGmailを利用しているだけなのです。

並行運用で使用する場合でも、この点は注意が必要です。

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中締め

今回はGSuiteの移行性のデメリットについてお話しました。
今回の話でGSuiteが適した環境・適さない環境の姿が徐々に見えてきたかと思います。
もちろん適さない側だからといってGSuiteは絶対無理!ということではありません。
社内ITスキル向上の教材として活用するという目的を持って臨むのであれば、これ以上無い教材になるでしょう。
最低限日々のメールを利用しなければならず、嫌でも覚えるしかない状態になります。

今回のシリーズは情シスあるいは経営層の判断としてGSuite導入の是非を図る上でのメリット/デメリットのお話になります。個別機能については、以前の記事をご参考いただくとともに、実際にGSuiteを利用してみてはいかがでしょうか。

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