ひとり情シス事情 バックナンバー
情シスになる前の状況のご紹介 | ひとり情シス事情
ー転職前の状況やSEと情シスの違い的な話
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ー転職後の状況や情シスの組織的特色、社内問合せ、情シスの課題的な話
社内での不具合対応について | ひとり情シス事情
ー主に不具合問合せの話
イントロダクション
前回は社内問合せの中から不具合対応についての話をしました。
そんな話をしたせいなのか、翌日無線LANが繋がらないという問合せとWindowsログイン後にエラーが表示されるという問合せを受けました。
ネットワークに繋がらなかったりログインができない状態はリモート対応できないので結構面倒です。
社内からの問合せは何も不具合対応だけではありません。
不具合対応の楽な点を探すとすれば、必ず今あるモノで発生しているということです。
システムにせよデバイスにせよ、導入して使っているから不具合が起きます。
全ての把握は難しいですが、導入したということは購入元があり、問合せ先もあることがあります。
その逆で、今ここに無いもののことを聞かれることが実は難しかったりします。
今回のテーマは社内問合せの中から、質問や問合せ、情報提供依頼の類の話をしたいと思います。
質問・問合せ・情報提供依頼
「時間あるときでいいので」は常套句
発生頻度 | ★★ | 週1件くらいはあります。 |
作業規模 | ★~★★ | 100%ご期待に応えられないこともあります。 |
緊急性 | ★~★★ | 一番よく言われるのは「時間があるときでいいので」。 そんな時は無いので時間を作るしか無い。 |
難易度 | ★~★★★ | 全く畑違いの製品やサービスのことも聞かれます。 |
★1~★3で評価しています。★が多い程割合が大きくなります。
<よくある質問>
・上司やお客さんから言われたけどやり方がわからないので教えてほしい。
・業務が継続できない程の不具合ではないんだけど効率が悪いので改善したい。
・うまくやったらもっと便利になりそうだけど何かいい方法や製品・サービスは無いか。
・IT関連で新しいことをしたいのだけど、情シスの観点から注意すべき点はあるか。
上から下に向かって重要度が高くなっています。
やり方がわからないなら、調べ方を教えましょう
「やり方がわからない」の大半は調べ方の問題です。
ヒントくらいはあげてもいいかもしれませんが、情シスはGoogleではありません。
聞かれてわからなかったら結局私もGoogle検索するので、検索代行でしかなくなります。
自身の知識も増えると思えるうちはいいのですが、手順書やマニュアルも読まずに「教えて」と言ってくる人も出てくるので注意が必要です。
業務効率の改善は重要かもしれませんが、各自の創意工夫で解決できることもあります。
これも調べ方の問題の場合もあります。課題意識を持って質問してくるのでヒントをあげると比較的スムーズに自力で解決してもらえます。
「情シスだから知っていること」なんてそんなに無い
製品・サービスの問い合わせが実は結構難しいです。
前回の不具合対応で出てきたようなハードやネットワークについては情シスのほうが詳しいかもしれませんが、業務寄りのサービスは業務部門のほうが詳しい場合が多いです。
製品・サービスは星の数ほどあり、その全てを網羅することはできません。
この手の質問の多くは、今ここに無いモノについての質問です。
運よく知っているカテゴリーならいいのですが、そうでなければ「まずはGoogle検索」になります。
それはそれで自身にとっても知らなかった製品・サービスを知る機会になるので有益な部分もあります。
ただあまり深入りせず、さらっと調べた結果で答えるか、業者に話を振ります。
これが経営層から、しかも結構な規模の情報提供依頼であれば、重要度も緊急性も変わってきます。
ある程度の自力で調べて情報を身に着けたら、付き合いのある業者に情報提供を依頼したり、新規の業者に直接問い合わせたりします。
「次の会議までに」のような報告期限があることもあります。
WANを含めたインターネットキャリアの切り替え候補選定の時がまさにそれでした。
もちろん経営層からの依頼だからといって必ず重要度が高いわけではありません。
何をしようとしているか、どれくらい現実味のある話かを加味して優先度を決める必要があります。
ルールや方針との適合検討は情シスの本分
製品やサービスありきで情シスに意見を求められることもあります。
これはまさに情シスの本分といいってもいいかもしれません。
業務部門が選定したものなので、価格や用途、使い勝手はある程度織り込み済みです。
社内の他のシステムとの関連性はどうなっているか、セキュリティリスクは無いか、社内ポリシーに沿ったものか等が情シスに求められる「意見」です。
持ち込まれるのは業務寄りの製品・サービスであることが多く、まずそれが何をするものなのか理解するところからはじめることも多いです。
異業種への転職の場合、最初は業種特有の慣習や言葉に戸惑うこともあります。
私の場合、プログラミングの言語がCかjavaの違いとかいうレベルではなく、携帯アプリのエンジニアがサーバ基盤作るくらい畑違いの業種への転職だったので結構苦労しました。
習うより慣れろ(人によります)
前職の上司の私への評価は「わからないなりになんとかしてしまう勘の良さがあって、いい意味でいい加減」でした。
業務の専門的な話は、端々のわからない言葉は後から調べればいいのでとりあえず話の筋だけ追っておく。
要点だと思ったところだけ最後に「こういうことですよね」と確認しておく。
人によっては業界研究の本を読んだり、専門書で勉強したりすると思いますが、私の場合現在に至るまで自分の会社のコア事業に関する書物を読んだことがありません。
それでもなんとか業務部門と同じ言葉で話ができるようになってきたし、新卒の新入社員に自社の事業におけるシステムの位置付けを研修してしまったりしています。
恐らく100点ではないけど、とりあえず75点を目指す。
現場で仕事してれば嫌でも覚える。習うより慣れろ。
真面目な人には不向きなスタンスかもしれません。
この辺が「いい意味でいい加減」なのでしょう。
具体的な事例(1)
ここからは実際に受けた質問・問合せ・情報提供依頼を紹介します。
「フライヤー(チラシ)にアンケートページにアクセスするQRコードを入れたい。
無償のQRコード作成サービスで情シスの観点で推奨できるサービスを教えてほしい。」
出社直後にこのメールを見たときに思わず唸ってしましました。
印刷業者にお願いしていればそこがQRコードまでやってくれそうですが、自社の複合機で刷ろうとしていて、レイアウトも自分たちで作っています。
アンケートページは導入しているMA(マーケティングオートメーション)で作成しています。
そこまでやってQRコードは無償サービス。
なんとなくギャップを感じてしまいました。
無償のQRコード作成サービスの推奨って、何を持ってお勧めすればいいんだろう。
情シスに聞いてきたってことはやっぱりセキュリティ?
まず何が提供されているかわからなかったのでとりあえずGoogleに聞いてみました。
そこで辿り着いたのがこのサービスです。
調べた結果、「QRコード」自体デンソーウェーブの商標とのこと。
サイト内にはQRコードの開発から普及に至る歴史が紹介されていたりします。
QRコードからのアクセス解析があったり、読み込むことでWi-fi接続の認証ができるWi-fiQRが作れたり、QRコードの利用って思ったより幅広いんだと思わず読みふけってしまいました。
ただしこのサービスで作成したQRコードの利用時には登録商標文の記載が求められます。
情報量が限られデザイン性を求めるフライヤーには不向きなので、他の印刷業者が提供しているデザイン性の高いサービスをお勧めしておきました。
具体的な事例(2)
1つ目が無茶振りだったわりに勉強になった話だったので、オチになりそうな話を一つ。
社有携帯のスマートフォン化が一段落した頃に、ある役員に立ち話で聞かれました。
「子供が携帯機種変したいって言ってるんだ。
これだけいっぱい携帯入れたんだし、優遇とか無いの?」
本当にいるんだ、この手の人。
本気か冗談かわからなかったので、「法人営業しかない業者なので」と糞真面目に反してみました。
経営層からの質問が全て重要ではないという、端的な事例でした。
後書き
自分で調べる力を身に着けさせることも大事
質問・問合せ・情報提供依頼の対応は、検索のコツを身につければ「とりあえずググる」で結構解決できます。つまり情シスじゃなくても調べられることが多いです。
情シスは社内のITリテラシーの向上も考えなければいけません。
なんでもかんでも人に聞く前にまず調べてみる。
SEの新人時代に言われたような話ですが、これを定着させることも情シスの仕事です。
労力を惜しむわけではありませんが、全部調べて綺麗にまとめて回答すれば、その時は喜ばれますが相手のスキルは向上しません。
ある程度ヒントを出したり誘導したりして、社内の「自分で調べる力」を向上させたいと思い始めている今日この頃です。
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