RPAって何ができるの? | ユーザー目線で見るRPA(1)

RPAって何ができるの? | ユーザー目線で見るRPA(1)

イントロダクション

IT関連のトレンドワードは日々移り変わっていきます。
2018年の上期であれば「IoT」「AI」、そして「RPA」といったところでしょうか。
RPAには2017年あたりから盛り上がりはじめ、2018年になって大々的にキャンペーンが展開されはじめた印象です。

弊社も他聞に漏れずRPAの検討を進め、展開・活用を進めている真っ最中です。
導入にあたって情報収集やセミナー参加、テスト試用等を重ねてみましたが、経営層の一声で「とりあえず入れてみよう」となったという感じで導入が決まりました。

RPAは「人手不足解消」「働き方改革」といったフレーズと共に非常に多くの関心を集めていますが、実際何ができて、どのような管理が必要で、どうすれば効果が出るのか、イメージが付きづらいところもあるかと思います。
「売り手」側の「こんなことができますよ」だけではない、実際にRPAを導入・活用しようとしているユーザー目線で見たRPAとは何かをお話していきたいと思います。

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RPAとは何か

Robotics Process Automation(ロボットによる業務自動化)

そもそもRPAとは何なのか、という話を一応しておきます。
何の略称かというのはタイトルの通りです。ロボットで業務を自動化しよう、という製品です。
ロボットというと未来の世界の猫型のヤツだったり連邦の白いヤツだったりを想像されるかもしれませんが、RPAのいうところのロボットはソフトウェアロボットです。
ソフトウェアロボットとは何かというと、人間がパソコンで行っていたようなデータ入力やファイル操作のような作業を代わりに行うソフトです。要は「ソフトを使ってくれるソフト」なのです。
そもそもソフトウェア自体がこれまで手作業でやっていた集計・計算のような作業を効率化するために開発されているものです。RPAはこのソフトウェアを人間が使うのではなく、さらに別のソフトウェアに動かしてもらおう、というものなのです。

RPAの動作環境

上記のとおり、RPAもソフトウェアですから、RPAを動作させるための環境が必要です。
動作環境は普通のソフトと同様にサーバやパソコンなどのコンピューターです。
RPAも様々なラインナップがあり、規模の大きさによってサーバ導入が適したもの、パソコン導入が適したものがあります。

サーバとパソコンの最大の違いは処理能力です。大量データ処理をさせるようなRPAであればサーバが適しています。また連続使用や複数名の接続、電源管理やバックアップ等複雑な用途がある場合もサーバが適しているといえます。ここは他のソフトウェアと変わりません。

サーバで動作するのは主に大規模向けと言われるような製品で、代表的なものは「Bizrobo!(RPA テクノロジーズ社)」や「UiPath(UiPath社)」などがあります。
小規模向けの製品としては「WinActor(NTTアドバンステクノロジ)」や「NEC Software Robot Solution(NEC)」などがあります。

RPAって何ができるの?

パソコン上で人間が行うことは一応覚えることができる

今回の本題ですが、RPAは何ができるかということです。
要約するとタイトルの通りでパソコン上で人間が行うことは一応覚えられます。

例えばファイルを開いてデータを別のファイルに転機したり、Webサイトのボタンを押したりすることを覚えることができます。

考えることはほぼできません

ただし「どのファイルを開けばいいか」「何を入力すればいいか」を考えることはできません。覚えさせる必要があります。
ここで実用においてきちんと理解しておかなければいけないことがあります。

それは、「どこに格納されている」「どのような名前のファイルか」を正確に覚えられる代わりに、格納場所やファイル名が違えば処理を行うことはできません。ソフトウェアなので当然と言えば当然です。

もちろん外部ファイルに開くためのファイル名や入力するデータの内容を定義しておいて、それを読み込ませることは可能です。外部ファイルの中身を書き換えれば同一ファイルを指定しても可変的な動きを行わせることは可能です。ただしその外部ファイルを書き換えるということは誰かがやらなければいけません。つまり「考える」ことは人間が行って、「実行する」のはRPA、ということになります。

デジタルレイバー=マニュアルの一言一句の通りに働くアルバイト

上記のタイトルはRPA導入時にベンダーから受けた説明です。
RPAはデジタルレイバーと呼ばれます。デジタルレイバーを直訳すれば「電子労働者」です。人間の労働者の代わりに働く電子的な労働者、という位置づけです。

RPAは経営者にとってはとても優秀な労働者です。休憩はいらない、連続勤務させても問題ない、指示された内容をミスなく行う。その代わり自分で考えることはできないので必ず社員が指示を出さなければいけない、ということで「アルバイト」という表現をしたのだと思います。

確かに非常に優秀なアルバイトですが、非常に融通の利かないアルバイトでもあります。
人間に出す指示と違って一言一句細かく指示を出す必要があり、その指示が間違っていたとしてもその通りにしか動いてくれません。指示のない内容は完全に無視します。
人間のアルバイトであっても本当はそれで良いのですが、RPAの場合厄介なのは、例えばアクセスするWebサイトのレイアウトが若干リニューアルされただけでも「指示されたものと違う」ということで動作しなくなることがあります。

「RPAは使い勝手が悪い」と言っているのではなく、「向き不向きはある」ということを言いたいのです。Webサイト入力に特化したRPAもあるようなので、全ての製品がそうではないかもしれませんが、それぞれに得意分野と不得意分野が存在します。それは人間でも同じですよね。「データ入力だけやって」として雇ったアルバイトに「プレゼン資料で使うためのデータ整理手伝って」とお願いしたとして、必ずできるかと言われるとそうとも限らないでしょう。

得意なのは同じ周期で行う定型作業(電子化されている前提)

RPAもソフトウェアなので、他のソフトウェアと同様に定型業務の処理は得意です。
ただしもちろんソフトウェアですから、行う作業は電子化されたもののみが対象となります。

例えば紙で届く請求書をシステムに入力するという業務があるとすると、紙の請求書を一旦データ化しなければRPAは処理してくれません。データ化にはOCRの利用や人間がデータパンチする方法もあります。

しかし人間がRPAのためにデータパンチするくらいなら、最初からシステムにパンチすればいい、ということになりかねません。だからといってデータパンチをしてまでRPAを使うのが必ず非効率であるとは限りません。データフォーマットを合わせたうえで、他のデータと自動的に結合させることもできます。またRPAのスケジューリングは必ず業務時間内にしておく必要もないので、分散した事務所から定時までにパンチデータを所定のフォルダにかき集めて、夜間にRPAが登録処理を行う、ということは可能です。

RPAへの指示は所定の書式=処理フローで

そして何よりも重要なのは、RPAへの指示はRPA上で処理フローとして書くことが多いということです。ソフトウェアの動作についての指示ですから、それなりに専門的なソフトの知識が必要になります。

RPAの売り文句として「業務部門でも設定可能」のようなものもありますが、元々プログラミングもやっていたSEだった私もフローを一つ作ってみた感想としては、「これを業務部門で作るのは至難の業だろう」でした。試しにVBAを相当程度に使いこなすことができる業務部門のメンバーに私が作ったサンプルフローと一緒に2週間触ってもらいましたが、「これはプログラミングだね」という感想でした。

IT系の情報サイトに「業務部門で勝手に野良RPAを作らせないように」のような話がありますが、「業務部門がRPAを使いこなせるか」というほうが先に心配すべきでしょう。
もちろん全てのRPAがそうとは限りませんし、全ての企業が同じとは限りませんが、ある程度の難易度は覚悟しないといけないかもしれません。
特に大規模向けのRPAはサーバサイドでのバッチ処理がメインになるため、GUIのイメージなしにフローを作成するのはもはやプログラミング以外の何物でもないでしょう。

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中締め

今回はRPA導入が比較的難易度が高いものである、という話に終始してしまいましたが、実際そこまで容易なものではないことは確かです。RPAの導入もシステム導入の一つであるという覚悟は必要です。

しかしRPAの効果は非常にわかりやすく出すことができます。人間が行っていた作業をシステムが自動化するのですから、わかりやすく時間を短縮させることができます。また利用料などの費用も、RPA=デジタルレイバー=労働者と考えると、一人の従業員を雇用するのと比較してどれだけ安いかと考えることができます。

RPAは導入すれば全てが解決するような魔法のツールではありませんが、過剰な期待を排除した上でRPA利用すれば、改めてその効果が大きいことに気づくことになります。
次回はRPAの本質的な使い方についてお話していきたいと思います。

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