イントロダクション
以前「ハングアウト?Duo?Allo?Meet?Chat?Googleのコミュニケーションツールの怪と解」という記事でGoogleのコミュニケーションツール群についての説明をさせていただきましたが、その中で「Alloは新規開発も終了しており、いずれサービスが終了するかもしれない」とお話していましたが、2019年3月でのAlloのサービス終了が正式に発表されました。
さらにハングアウトも2020年中のサービス終了が発表されました。
それぞれ代替ツールとして、AlloはAndroid向けRSCメッセージングアプリ「Androidメッセージ」、ハングアウトは現在GSuite向けに提供されている「HangoutsMeet」「HangoutsChat」に移行することになります。
これによって個人向けコミュニケーションツールはビデオチャットは「Duo」、テキストメッセージは「メッセージ」に、ビジネス向けコミュニケーションツールはビデオチャットは「HangoutsMeet」、テキストメッセージは「HangoutsChat」と4種類になることになります。
前回の記事でもGoogleのコミュニケーションツールの変遷をご紹介しました。
「The Google Cemetery(Google墓場)」というサイトもあるくらい新しいものが出てきては消えていくGoogleのサービスではありますが、Androidメッセージとは何かをご紹介していきたいと思います。
RCSとは何か
RCS登場の背景
AndroidメッセージはRCS(Rich Communication Services)という規格を採用しています。
元々Googleは「メッセンジャー」というアプリでSMS(ショートメッセージ)をサポートしていました。
これが2017年2月に名称を「Androidメッセージ」に改称すると共に、RCSのサポートを強化しました。
SMSはスマートフォンの登場以前から携帯電話のメッセージ機能として提供されていた規格で、メールアドレスでは無く電話番号と元に、電話回線を利用して、短い文字数(半角160文字)のメッセージを送れるサービスです。
相手のメールアドレスを知らなくても送れる、送信先が圏外でも受信可能になった時に送信される、送達確認ができる等のメリットがあります。
しかしiモードの普及で携帯キャリアメールアドレスが標準的に流通し、現在ではLINEなどのチャットツールも多く普及する中でSMSはその使用頻度をどんどん減少させていきました。
これでは困るのが携帯キャリアです。
SMSは電話回線を利用=通話料がかかりますから、通話料収入になります。
利用されるサービスはサービスキャリア(所謂OTT事業者)で、自分たちはパケットを流すだけの土管になってしまうことに危惧した通信キャリアがSMSを軸にメッセンジャーを強化するために活用されはじめたのがRCSという規格です。
RCS=「便利になったSMS」?
RCSとSMSの大きな違いは以下の点になります。
・キャリアによる制限を(規格としては)受けない
・文字数制限が拡大している。添付ファイルの送付も可能。
通常のメッセージアプリと何が違うの?と言うと、SMSと同様に「電話番号がわかっていれば送受信可能」という点です。
わざわざRCSにするメリットは利用者よりも情報提供者側にあると言えます。
SMS同様にRCSもスマートフォンの標準機能として搭載されることになるため、情報提供者は相手がLINEを利用しているか、FacebookMessengerを利用しているかなどサービスの種類を気にする必要無くチャットでの問合せツールを提供することができます。
標準仕様のためサービスの仕様変更や停止などを意識する必要がほぼなく、スマートフォン利用者であれば誰とでもつながることができることが強みでしょう。
先ほどのキャリアの視点からいくと、国内3大キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)が提供している「+メッセージ」も同じくRCSを採用したサービスです。
ただしこのサービス、RCSでやりとりできるのは「+メッセージ」同士だけです。
しかも3大キャリア以外の携帯では「+メッセージ」を利用できません。
規格の主旨と若干異なる気もするのですが、相手が「+メッセージ」ではない場合自動的にSMSでの通信になります。
Androidメッセージとは何か
Googleが提供するRCS
「Androidメッセージ」はAndroidスマートフォンの標準メッセージツールと位置付けられています。
Google自身が「これからはRCSだぜ!」とキャリアと一緒にRCSの旗振りをしているという状態です。
AndroidスマートフォンはGoogleのOS、メーカーの本体、キャリアの通信で成り立っています。
キャリアを大事にせずにGoogleのビジネスは成り立ちません。
そんなGoogleがハングアウトで他のOTT同様にキャリアを土管化させていてはいけない、ということではないかと思いますが、だったらはじめから…。
そのへんは置いておいて、とにかく「Androidメッセージ」がAndroidの標準となるツールになるようです。
機能はAlloや他のメッセンジャーアプリとほぼ同等
アプリの画面は起動するとこのようになります。
ちなみに「Androidメッセージ」を利用開始すると過去のSMSも含めて全て「Androidメッセージ」に統一されます。
この仕様は前述の「+メッセージ」も同じです。
トップ画面には過去のメッセージの履歴が表示されます。
同じ人とは引き続きメッセージのやり取りを行うことができます。
「チャットを開始」にすると連絡帳の一覧が表示されます。
これは連絡先アプリと連動しており、個別にメンバーを追加する必要はありません。
Google連絡先とも連動します。
画面上部の文言「グループの会話を開始」からもわかるようにグループチャットを行うこともできます。
実際のチャット画面ですが、文字入力以外に絵文字、画像、ステッカー(LINEでいうスタンプのようなもの)、位置情報、連絡先、ボイスメッセージなどを送付することができます。
ステッカーはアプリを利用して自分で作成することもできます。
さらに「Messages for web」を利用することでパソコンからもメッセージを送ることができるようになります。
実はこれらの機能についてはAlloも同じことができています。
違いは今のところRSCであるかどうかくらいかもしれません。
なのでサービス移行に伴う混乱は操作面ではさほどないかもしれません。
あとがき
Androidメッセージは「とりあえず」既存のメッセージアプリとほぼ同等の機能を有したRSCメッセージアプリです。
キャリア側の思惑もありますが、標準規格としてのRSCの有用性はあると思います。
ビジネスチャットにおいてLINEの利用に懸念を持たれている場合でも、SMS利用はメールの延長として許可されている場合が多いのではないかと思います。
RSCはSMSの延長と捉えることもでき、そこを突破口にビジネス利用に活路を見出すことも考えられます。
ただしやりとりの履歴等の管理が難しいという点では法人利用のハードルはまだあるかもしれません。
Googleとしてはビジネス利用ツールとしては「HangoutsMeet」「HangoutsChat」を推奨しており、Androidメッセージはあくまでパーソナルツールという位置づけなので、管理機能が強化される可能性は低いのではないかと思います。
LINEやFacebookメッセンジャーのような位置付けになることができるのか、また墓場行きになってしまうのか。
今後の展開を注視していきたいと思います。
GSuite、Googleアプリ関係のまとめです。
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