エコ・環境配慮について<システム環境・エコ> | システム導入検討のエッセンス(13)

エコ・環境配慮について<システム環境・エコ> | システム導入検討のエッセンス(13)

イントロダクション

RFI・RFPについての第13回、非機能要件詳細についての第10回目になります。
今回で非機能要件の詳細については一旦締めとなります。

前回からシステム環境についてのお話をしてきていますが、今回はエコや環境配慮についての話になります。

経済産業省の提唱する「グリーンIT」やCSR(企業の社会的責任)といった外部環境としての環境配慮への流れももちろんありますが、企業側への恩恵は副次的なものだけではありません。

優先順の問題もありますが、軽視していいカテゴリではありません。詳細を確認していきましょう。

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エコ・環境配慮について

グリーンITについて

グリーンITとは、簡単に言うと「エコや環境に貢献できるIT技術・IT活用にしよう」ということです。
厳密に「これがグリーンITだ」とする明確な定義は無いのですが、日本では約10年くらい前に経産省の出した「グリーンITイニシアティブ」が一つの指針となり、盛り上がりを見せました。

グリーンITには主に3つのアプローチがあると言われています。

1.IT機器やデータセンターの省電力化

システムをはじめとするITサービスが動いている裏には、それを動かしているコンピュータが存在し、そのコンピュータとネットワークでつながるためにネットワーク機器が存在します。これらは機械ですから、この消費電力を減らせようというアプローチです。

2.生活や産業活動に伴うエネルギー消費削減

会議のために出張するということは、交通機関が消費するエネルギーが増えます。そこをTV会議に置き換えることでエネルギー消費を抑えよう、というようにITを活用することでエネルギー消費を抑えようというアプローチです。

3.IT機器の3R(Reduce、Reuse、Recycle)

IT機器も資源です。きちんとリサイクルのための仕組みを整えましょう、というアプローチです。

せっかくなのでこの3つのアプローチに沿って調達要件に求めるエコを考えてみましょう。

IT機器の省電力化の観点

少し古いデータですが、経済産業省によると2025年のIT機器やシステムが消費する電力は2006年の約5倍(500億kWh→2400億kWh)になる試算だそうです。
その一方でIT利活用により発生する省エネ効果(Web会議による人の移動の抑制、業務効率化・省力化による消費減少等)は4900億kWhと試算されており、排出量を大きく上回っています。さらにここから消費電力を1000億kWh削減していこう!と経産省は「グリーンITイニシアチブ」にて訴えています。

数値の妥当性はともかく、要はサーバに代表されるIT機器の消費電力を削減しようということです。これに加えて東日本大震災以降はさらなる省電力化の要求が高まったこともあり、サーバの消費電力はますます下がっています。

消費電力削減は利用者にとってもありがたいことで、ランニングコストの低減を図ることができます。システム導入時に消費電力をランニングコストとして見積もることはそうありませんが、サーバ自体の消費電力の低減、冷却効率の向上による空調の最適化、仮想化による稼働台数の低減等、総合的に見ると結構な差が発生します。1台とUPSと空調等の周辺機器一式で月8,000~10,000円かかるという試算もあります。パブリッククラウドの費用が電気代だけ見てもどれだけお得かわかるのではないでしょうか。

またオンプレであっても、一般用電源で動作可能で、熱放出も少なく静音性も高いサーバであれば専用のサーバ室でなくても設置できるため、その分のコストが削減できます。

IT活用による様々な削減効果

TV会議の例はよく使われますが、例えば社内事務をシステムワークフロー化することによる紙の削減であったり、人感センサーと連動して照明や空調をコントロールすることによる消費電力の削減であったり、「削減」というキーワードがよく出てきます。

そもそもシステム導入は人力の作業をシステムに置き換えたり、既存の業務手順を見直したりして、業務を効率化する=業務に係る時間を削減することを目的としているものが多いです。
人力でもできるけど、時間と労力と経験等が必要なので多くの人手を必要としていたものをシステム導入によって処理を高速化すると共に、経験知をシステム化=形式知に変換することで、手順書があれば誰でも操作できるようになり、今まで取られていた人手を解放することができる、というのが企業・団体向けの多くのシステムの売りではないでしょうか。

そもそも人力でできなかったものをITの力でできるようにするものもありますが、そちらは「効率化」や「エコ」の観点というより、「UX」や「優位性」の面で評価されるものが多いのではないでしょうか。

エコのための削減であると同時に、無駄な費用の削減、既存業務への拘束時間の削減にも繋がります。稟議書の紙を持って社内をあっちこっちウロウロしていた手間と時間と紙を削減するのですから。

IT機器の3Rについて

IT機器の3Rはユーザー側の努力というより、ハードベンダーの取り組み次第になります。
そういった取り組みをきちんと行っているベンダーの機械を優先的に導入するのがユーザー側の仕事です。

耐用年数を超過したパソコンやサーバを後生大事に使い続けたり、本体との組み合わせ上一台余ったディスプレイを持っていないから家に持ち帰ったりするのは「3R」ではありませんのでご注意ください。

システム環境・エコまとめ

システム環境やエコについて、クラウド化が進む中で物理的な面に目が向けられる機会が少なくなりがちですが、たとえクラウドでもシステムは必ず物理ハード上で動作していることを改めて認識した上で、システムの安定稼働に必要な要件は何かを考えることが必要です。

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非機能要件まとめ

非機能要件グレードの話だけで10回に分けてお話してきました。
こうして考えるとシステムが動作するために必要な要素というのは実にたくさんあることがわかります。
そのどれもが快適で効率的な運用を実現するために必要なのです。

バックアップや冗長化が無ければハード障害以降システムは利用できなくなります。
どんなに優れた機能を提供していても、レスポンスやキャパシティが不足していれば業務の足かせになります。
現行からの移行はデータ、人、運用の全てを動かさなければならず、うまく移行できないと新システムの稼働直後にいきなり運用が回らなくなるかもしれません。
どんなに便利でもセキュリティ的に問題のあるシステムは情報漏洩リスクに晒されます。
そもそもそのシステムが動作するサーバはどこに置くつもりですか?

全ての要件を厳密に定義しないまでも、観点としてこれらの検討が本当に不要なのか、システム導入の際には一度見直してみるといいでしょう。
意外なところにボトルネックになりうる問題が見つかるかもしれませんよ。

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