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イントロダクション
これまで何度か「ネットワーク系が苦手」とお話してきました。
それは「理解することが難しい」のではなく「経験が無いので知識が不足している」からです。
私の前職については何度かお話していますが、業務システムパッケージの提案・導入・保守を行うアプリケーション系のSEでした。
SE=IT系全般に強いかというと、そうとは限りません。
というわけで今回はSIerのSEの技術力事情を中心に転職のきっかけをお話していきたいと思います。
SIerのSEの技術力事情と転職
専門化の進んだ世界
近年のシステム開発は専門化・分業化が進んでおり、大規模システムであれば業務設計、アプリ開発、インフラ構築等それぞれに特化したSEが存在します。
私が担当していたシステムもそこそこの規模でしたが、業務設計とアプリ開発は割と混在していました。ただしパッケージ単体での導入はあまりなく、統合プロジェクトになると規模が大きくなるため、インフラ構築は専門部隊が行うことがほとんどでした。
ハード調達のための要件は業務によって異なるため業務SEが行うため、ある程度の知識は必要でした。ただ扱っていたがパッケージシステムだったため、ハードウェアの性能要件はほぼメニュー化されていました。
プロジェクト毎に計算するのは、利用する機能や業務データの量によって変化するストレージ容量やデータベース容量くらいでしたが、それも経験年数が進むとExcelツールを作って必要な数値を入れると自動計算するようにしたので、ほぼやることはありませんでした。
性能テストもしましたが、パッケージ性能を評価してNGだったとしてもどうにもできないので、カスタマイズ機能を中心に行い、改善させるのはテーブルのインデックスや実行SQL、ソースの効率化くらいでした。
つまりハードウェアやネットワークといったインフラ系については、素人に毛が三本生えた程度の経験しか無いSEだったのです。
技術者としての不安感
中規模~大手SIerのSEや、そこにAP開発で投入される派遣や請負のSEで、ある一定の年齢層より下はこの傾向が強いです。自力でサーバーのキッティングのできない中堅クラスのSEなんてゴロゴロいます。
IT業界の行く末を危惧するような大きな話をするつもりはありませんが、技術者としてそれでいいのかという不安感も転職に踏み切った理由の一つでした。
平素な言葉で言えば「このまま行ったら潰しが効かなくなるな」という不安です。
キャリアパスとしてはプロジェクト管理者に向けて進み始めたあたりではありました。
しかし、業務や現場をよく知らないプロマネがプロジェクトを炎上させてきたのを何度も目の当たりにしており、単一業務しか経験の無い自分も同じ轍を踏むのではないかという思いも少なからずありました。早いうちに別業務の経験が積めれば良かったのですが、人手不足で経験者を手放せる状況ではなかったため異動も経験しませんでした。
何より先のことを考えるだけの余裕の無いままずっと走り続けていたので、キャリアパスを考えるようなタイミングになってようやく気付いたという状況でした。
キャリアを考えたときに、自分にIT技術者として市場に求められるだけの価値があるかと自問した結論は、「無い」でした。
転職でなくても状況は変えられるが、大した変化ではない
会社内ではそれなりの経験年数と人脈、実績を評価してもらえたとしても、それが他社で通用する自信が全くありませんでした。
それは社内であっても変わりません。今の業務、今の組織だから評価されているのであって、別の業務や別の組織で通用するものか未知数です。
そういう意味では部署間異動の希望を出して別業務を経験することも可能でした。
ただ、同じ会社内であれば大きくは変わらないだろうという思いもありました。
前述の通りSIerのSEの業務は特化型であり、それはどの部署でも大して変わりません。
それは同期や知人の状況を見ても伝わってきました。
結局SIerにいる限り自分の不安を払拭しきることはできないと思い、転職を決意しました。
技術屋としてのモチベーション
元々文系だった私が新卒の時にIT系の業種に就職をした理由は、「これから必要不可欠になる領域だから」、「興味があること、知らないことにチャレンジしていきたい」という、割と薄っぺらいものでした。
しかし十数年SEとしてやってきても、最初の志望動機は変わっていないことに気づかされました。
ネットワークやインフラがわからないSEのまま終わりたくない。
新しい技術やサービスが次々に生まれているのに、それに知らずにSEを名乗っていていいのだろうか。
結局、技術屋と管理者はモチベーションが違います。
全部知りたいという知的好奇心が技術屋の最大のモチベーションではないでしょうか。
あとがき
そういう意味では、今私は情シスとして高いモチベーションを維持できています。
SEとしての技術的な下地があることはもちろん強みではありますが、知らなかった技術やトレンドの情報に業務として触れることができ、多くの刺激を受けています。
勤務時間云々もありますが、決して「~したくないから」「~しなくていいから」というような後ろ向きな理由だけではなく、技術屋としての喜びも感じています。
もちろん全てがバラ色の仕事なんてありません。
社内のITリテラシーのバラつきからなかなか話が通じなかったり、障害が発生しても業務部門とベンダーの間の調整しかできず自身が直接解決できないことにもどかしさを感じたり、苦労することもあります。
それすらも「自分の力でITを駆使してこの会社を良くしていくんだ」という気概さえあれば、さして苦にはならないでしょう。
社内で評価されることが少なかったとしても、自分が納得できるだけの知識とスキルを身につければ、誰からも奪われることのない自身の力になり、それこそがIT技術者の市場価値ではないかと思うのです。
いろいろ御託を並べてきましたが、要するに知的好奇心が尽きないIT技術者にとって、情シスは天職だ、とつくづく思うのです。
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