業者対応について | ひとり情シス事情

イントロダクション

前回は社内からの質問や情報提供依頼についての話をしました。

情シスの主な相手は社内です。不具合や質問について、全部が全部対応できるわけではありません。
開発元や導入ベンダーにシステムの不具合の対応を依頼したり、付き合いのあるベンダーに情報提供依頼を出したりします。

前職がSEでしたから、これまではそうした問い合わせを受ける立場だったのですが、逆の立場になって気づくことも多々あります。

今回は情シスの人よりSEやベンダーの営業さんに知ってもらいたい話かもしれません。

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業者対応

業者から見ればただの1件、情シスから見れば複数件の中の1件

発生頻度 ★★ 1業者毎に見れば少ないけど、全体を見ればそれなりにあります。
作業規模 ★~★★ 完全に丸投げはできません。
緊急性 ★~★★ 現場の急ぎ具合によりますが、大体焦っています。
難易度 ★~★★ 業者に従順でも駄目だけど、厳しければいいってものでもありません。

★1~★3で評価しています。★が多い程割合が大きくなります。

基本は営業さんとのやり取り

会社として導入しているものはシステムだけではありません。
パソコン、携帯電話、プリンタ、ネットワーク機器等のハード系、インターネットや電話の回線等の通信系もあります。
システムやソフトもパソコンローカルにインストールするようなソフトもあればサブスクリプションで利用しているクラウドサービスもあります。その中の一つに自社サーバに構築した業務システムもあります。

それぞれに購入元、サービス提供元があり、その数だけ問い合わせ先があります。
問い合わせる相手は、基本営業さんです。
システム保守を委託している場合SEに直接連絡ということもありますが、上記のように多岐に及ぶ問い合わせ先の中でかなり稀なほうです。

営業だから専門的な話ができない訳ではありません(人にもよりますが)。
ただしSEの感覚だと、「これはちょっと直してほしいな」と思うことがいくつかあります。

電話連絡がメイン。せめて決定事項はメールもしてほしい

営業さんとの連絡は電話がメインです。それも携帯電話。
相手も外回りをしている人たちなので会社にかけてもいないかもしれないのでわかるのですが、SEの頃はユーザーに個人連絡先(というか携帯番号)を教えると情報が共有されなかったりコントロールが効かなくなるため御法度になっていたので最初違和感がありました。

事情として電話連絡になるのは仕方ないのですが、せめて決定事項については後からでもいいのでメールをしてもらいたいです。
契約や注文等の正式文書はさすがにそんなことはないのですが、アポイントの日時であったり、簡単な問い合わせの回答等は電話で済まされることが多いと感じています。

言った言わないにならないために、文字で残すことは大事だと思います。
こちらも1社からの連絡だけを待っているわけではないので、唐突に電話回答された内容を記録できていなかったり、忘れたりすることだってあります。
言質を取りたいという訳ではないのですが、後から検索できる状態で情報を残しておきたいのです。

問い合わせ台帳もあるとよい

ついでに問い合わせ台帳も整備して貰えると尚良いです。
保守委託をしているような業者との問い合わせはさすがに台帳があります。

そこまで大きな規模で無いかもしれませんが、例えばスマホ導入の時も台数確定やMDMの情報問い合わせ、書類の提出依頼等双方の依頼が錯綜しそうになることがありました。
こちらからの問い合わせだけではなく、業者からの依頼事項もあり、どちらもキチンと期限と回答状況が管理されている状況が望ましいです。

保守委託や大型プロジェクトのようにプロジェクト計画でユーザープロトコル文書の運用が合意されているような案件ではないので、作らないことが契約違反だとかサービスが悪いというわけではありませんが、双方のスムーズな意思疎通に有効であれば使っていいのではないかと思うのです。

こちらで台帳を整備するというのもちょっと考えたことがありましたが、1案件だけの台帳管理に注力することは難しく、作成を依頼しましたが最後まで実現はしませんでした。
状況的には業者側も同じなのかもしれませんが、これを繰り返していたらいつか漏らしたり忘れたりするぞ、と危惧しています。

飛び込み営業って本当にあるんだ

既存の付き合いのある業者以外にも新規業者からの営業もあります。
電話勧誘もありますが、事務所への飛び込み営業もあります。

SE時代は所謂セキュリティゾーンで仕事しており、オフィスに自社の社員及び派遣社員以外がいるのを見たことが無かったので、最初かなり新鮮でした。

正直、飛び込み営業は結構めんどくさいです。
新規業者なのでこちらにニーズがあるものと一致するものを紹介されることは稀です。
時間が無い中で優先度の低い話を聞かされる事ほど厄介なことはありません。

だからといって最初から完全シャットアウトの姿勢で臨むのも考え物です。
もしかしたら今後付き合いができる会社かもしれない、というのもあります。
私が一番危惧しているのは、自分の意識が既存環境の維持を優先するようになってしまうかもしれないことです。

新たな情報をシャットアウトするということは、既設の機器やシステム、付き合いのある業者からの情報だけを受け入れることになります。
IT情報系サイトを巡回していても、自力で収集できる情報量には限界があります。

気分転換くらいの気持ちで、深入りせず、でも耳を塞ぐことなく対応することが自身のスキルアップにも繋がると思います。

結局話し込むことが多い

既設業者への注文めいたことや、新規業者の飛び込み営業への苦情めいた話をしてきましたが、なんだかんだで業者と話し始めると話し込むことが多いです。

一番の理由は、情報システムの話をできる相手が他にいないから、です。

ひとり情シスは一人です。
自身の情報や判断を相談できる相手は社内には非常に少ないです。
SEの頃は周囲は同じシステムを扱う人しかいないので、上司なり同僚なりに同じ視点で助言を求めることができました。

ユーザー側の場合、現場の担当者に相談すると狭いスコープで掘り下げた話になりやすく、経営層とはマクロレベルの構想や計画の話にはなりますが実務レベルの話はできません。

結局同じスコープを共有できる相手が業者しかいない、という状況になりやすいのです。

もちろん相手は社内の人ではありませんから、全てをつまびらかにできないこともあります。
相手もそこを突破口に新たなサービスを売り込もうとしてきます。

どんなに信頼している業者であっても、完全に全てを委ねてはいけません。
業者と対等に話ができる関係を築くために、以下の事に心がけています。

・こちらの情報・知識を常に更新しつづけること。
私見であっても聞かれたことに即答できるくらいにしておくこと。
・毅然とした態度を取ること。
ただしわからないことは素直にわからないと言うこと。
・任せたことには責任を持つこと。
責任を持てる任せ方をすること。

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後書き

傲慢にならず、自力に頼らず

こちらが発注者であることを傘に高圧的に業者に接する人がいますが、情報システムに限らず圧力だけで良い関係は築けません。

ひとり情シスだと自分の手が足りず、色々お願いさせてもらうこともあります。
そんな時に手を差し伸べてもらえるのは、なんでも言うことを聞いてくれる情シスでも、高圧的に威嚇してくる情シスでもありません。

結局どんな仕事でもそうですが、信頼に足りる人だけが困った時に手を差し伸べてもらえるのだと思います。

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