オフィスのパソコンは購入?リース?レンタル?メリットとデメリットを比較 | パソコン調達のススメ(1)




話の要点
法人用パソコンの調達方法は購入、リース、レンタルがある。
【購入】
メリット :長期的に使い倒そうと思えばリースやレンタルより割安。
デメリット:購入時に一括で費用が必要。固定資産として帳簿に載せる必要がある。
【レンタル】
メリット :初期投資が抑えられる。故障時に代替品と交換できる。途中解約できる。
デメリット:長期的に利用した場合にレンタル料金が割高。備品返却等が厳しい。
【リース】
メリット :初期投資が抑えられる。長期利用した場合にレンタルより割安。
デメリット:基本的に途中解約できない。故障修理は自己負担。

イントロダクション

情シスにとってパソコンの調達は大きな業務の一つです。全社では数十台、数百台となるパソコンが稼働しています。
その全てを一点切り替えするのは至難の業なので、ある程度纏まった台数で入れ替えていくことが望ましいでしょう。

しかしパソコンはそれなりに高価な機械です。
1、2台ならまだしもまとめて10台単位となると、途端にゼロの数が増えていきます。
しかし費用を抑えることだけ考えると業務に必要なスペックを満たしていなかったりしてラインの不満が溜まるだけではなく、生産性の低下を招きかねません。
営業の外回り用にモバイルノートを要求されることもあるでしょうし、テクニカルな業務がある部門などは特定のソフトやシステムの動作要件を満たすためのスペックがいる場合もあります。
でもあまり色んな機種を導入すると保守性や資産の流用に支障をきたすので管理部門としてはできるだけ統一したい。

2020年1月のWindows7サポート終了もあり調達が進んでいるところとは思いますが、色々悩みは尽きないでしょう。

その中でも今回は調達方法に焦点を当ててお話ししていきたいと思います。

スポンサーリンク

法人向けパソコンの調達方法の比較

購入は総額としては割安だけど会計部門から嫌われる

まず一般的に考えられる調達方法は購入です。
法人向けパソコンはコンシューマー機と比較すると安価に調達できますが、大きな理由は付属ソフトが全て外してあるからです。

具体的にはMicrosoftOfficeとウイルスソフトの分だけ安いと言えます。
法人の場合Officeのボリュームライセンスを纏めて購入していたり、コーポレート版のウイルスソフトを導入しているのでプリインストール製品が不要なことが多いためです。

購入のメリットとしては、後で説明するレンタルやリースと比較すると長期的に使い倒そうと思えば最も割安です。
製品代金以外のリースの金利や製品価格を上回るレンタル料を支払う必要が無いからです。
基本的には新品の製品を使うことができ、購入する製品は自由に選べます。
また自社所有物になるので、使えるうちはいつまででも使い続けることが可能です。

デメリットとしては、購入時に一括で費用が必要であることと、固定資産として計上する必要があることが上げられます。
ものを買うのですからお金を払うのは当たり前ですが、一気に百万円単位のお金が必要になると資金繰りを考慮しなければいけない場合があります。
また購入したパソコンは会社の固定資産となり会計上は耐用年数まで減価償却されていくのですが、定率法を採用している場合は導入から新しいほど費用は多く計上され、年数が経つと資産価値の減少に伴い費用が減少していきます。
そのため支払いが多い時には損益を圧迫する可能性があります。

台数が多いですし導入時期によって償却費用は変動しますから、会計処理は複雑になります。
経理や会計を預かる部門からすると結構面倒くさい備品と言えるでしょう。
総額として安いとはいえ、一時的な出費が資金繰りや損益に影響したり、減価償却の手間などを考えると一概に「コストが安い」と言い切れないところがあります。

また故障や修理は自社責任になりますから、メンテナンスの手間もかかります。

レンタルは短期向き?メンテナンスの負荷軽減がメリット

次に考えられるのがレンタルです。
レンタルについて特に説明の必要はないと思いますが、DVDやCDのレンタルと発想は同じで、レンタル会社から月額料金でパソコンを借ります。

レンタルのメリットは、レンタル料金は損益の帳簿に乗らない(所謂オフバランス)ので損益に影響しないこと、レンタル料は主に月単位で定額なので初期投資が少なくて済むし費用変動が無いので係る費用の目算が立てやすいなど、購入におけるデメリットの裏返しがよく挙げられます。

情シスにとって非常にありがたいメリットは故障時の対応と解約だと思います。
レンタルの場合、機器故障があった場合は大抵の場合レンタル会社に連絡すると代替機と交換してもらえます。
購入したパソコンのハード故障が発生すると、製品の保証書を探し出して、メーカーに送付して、場合によっては修理費用が発生し、しかもその間パソコンが1台足りない状態が発生します。
レンタルの場合は対象のパソコンの個体識別情報を伝えると、同機種もしくは同程度のスペックのパソコンが送られてきて、代わりに故障したパソコンを送り返すだけで済みます。
会社にもよりますが、連絡から代替機が送られてくるまで1~2日程度、最長でも1週間くらいなので、パソコンが不足する期間を短くすることができますし、調査や修理を自力で行う労力もいりません。
またレンタル期間内の解約が比較的容易で、若干の違約金が発生したとしても途中で返却することができます。
余剰パソコンのレンタル料金を払い続けたくない、導入したパソコンのスペックが不十分なので別のものに変更したいなどにも柔軟に対応することができます。
また最終的に返却するので、廃棄の手間も省けます。

レンタルのデメリットは、長期的に利用した場合にレンタル料金が割高という点です。
会社や製品にもよりますが、3年~5年くらいまでの契約であればレンタルとリースの費用は拮抗する場合があります。
後述するリースは最初の契約期間で製品代金を払いきっているので再リースをすると費用が一気に下がります。
しかしレンタルは延長をかけても基本ずっと同じ料金です。
期間があまり長くなると、レンタル費用の合計が製品代金を上回っていっても導入当初と同じ金額を引き続き払い続けなければいけなくなるのです。
そのため「レンタルは短期向き」と言われるのです。
またレンタルできるパソコンの選択肢はレンタル会社が保有しているパソコンに限られ、要求したスペックのパソコンが必要な台数揃わなかったり、中古のパソコンが来る可能性もあります。
また返却の際には貸出時に貸与された周辺の備品等も含めて全て揃っていない場合、紛失扱いで費用を請求されます。

リースは分割支払い+金利、製品代金が払い終われば負担は軽くなる

ここで説明するリースは、多くの中小企業で利用される「所有権移転外ファイナンス・リース」を指します。
リースはレンタルと違ってリース会社が製品を購入し、契約をした企業はリース契約の期間で製品代金の分割分と金利を支払うものです。
身近な例だと金利手数料ありの通販の分割払いのような感じですが、所有権が移転しない=リース会社が所有していることになるため購入扱いにならず、レンタルと同様に損益の帳簿に乗りません。

従ってリースの会計上のメリットはレンタルとほぼ同じです。
リース満了をもってリース会社に返却する(所有権がリース会社にあるため)ので廃棄が必要ない点もレンタルと同じです。
レンタルにないメリットとしては、希望する製品を新品で調達できる点です。
リースは基本的に新規で購入する製品代金のファイナンスなので、リース会社が認めればどのような製品でも調達できます。
パソコンリースの場合はリース会社が要望のスペックのパソコンをメーカーに掛け合って探してきてくれることが多いですが、メーカー在庫さえあれば基本的には好きなスペックの新品のマシンを調達可能です。
またレンタルのところでも触れましたが、イメージとしては分割払いなので初回のリース期間が終了した時点で支払いは完了しており、再リース時にはリース料が非常に安くなります。
「長期的に利用する場合リースが得」と言われるのはこのためです。
あと返却時に周辺装置についてあまりとやかく言われないのもメリットと言えるかもしれません。
会社にもよるのかもしれませんが、返却後別の会社にリースすることも無く、本体さえあれば所有備品として扱った上で廃棄できるのであまりこだわりはないところが多いようです。

リースのデメリットは、途中解約が基本的に不可という点です。
イメージとしては分割払いなのですから当然といえば当然です。
大体の契約では解約不可か、解約時に残りの製品代金を一括支払いすることが求められます。
リースは長期契約向きですから、辞めたいと思ったときに残り期間がまだまだある可能性は高いです。
以前納品されたパソコンが着荷時不良か故障かでメーカーと揉めたことがありました。
初期不良としてメーカーに交換を求めたのですが、故障扱いで修理しかできないという対応をされ非常に腹立たしかったのですが、5年リースなのでそこから5年間そのメーカーと付き合わなければいけないと思うとさらに憂鬱な気分になりました。
また組織再編や入退社の関係で余剰パソコンが出ても、とりあえず保持しておくことしかできません。

またパソコンの管理はリース会社が関与してくれないので、故障対応は購入物品と同様になります。
先ほどの初期不良で揉めた時も直接メーカーとやり取りしましたし、新品が箱に入って届くので保証書も全て持っている状態になります。
つまり購入備品と同様に修理期間はパソコンが不足することになります。

それぞれの特徴から考える調達パターン

上記を踏まえて、用途に応じて以下のような調達パターンが適しているのではないかと思います。

最新機種を試験的に1台導入して評価したい場合は購入が適している。
自社資産なので好きなように扱えるし、1台の費用なら資金繰りや損益への影響も少ないので、総額が安いほうが良い。
特定の用途、スペックが必要なパソコンはレンタルが良さそう。
代替機の準備が難しく、機器のやりくりに苦慮することが想定されるので、故障交換があるレンタルのほうが安定して運用できる。
イベント等で短期間にまとまった台数のパソコンが必要な場合などはレンタルが最適。
全社で汎用的に利用でき、調達台数も多いのであればリースが適している。
ある程度の台数を入れておくことで代替機の融通がしやすくなる。
OA用等汎用的な用途であれば、長期的に使ってリースのメリットである費用効果が出るまで使える可能性が高い。

とはいえ月額料金でリースとパソコンを比較した場合にリースにメリットが出るのはリース期間が4~5年になったあたりからです。
そこから再リースになると5年落ちのパソコンを継続して使うことになります。
使われ方にもよりますが陳腐化、劣化が進んでいたとしても不思議はないでしょう。
毎日外回りに持ち出すモバイルノートあたりはボロボロになっているであろうことが容易に想像できます。
例えば5年前のモバイルノートと今の製品を比較すると、処理能力の向上や軽量化も進んでおり、生産性を考えれば新製品と入れ替えたほうが良いのではないでしょうか。

そう考えるとパソコンをリースで長期的に使用するというのがどれくらいのメリットになるのか考えてみたほうがいいかもしれません。

スポンサーリンク

あとがき

結局必要なのは長期的な更新計画

いくら生産性が、と言ったとしても、計画に無いパソコンをいきなり調達するのはリースやレンタルであっても社内稟議を通すのは難しいでしょう。
冒頭でもお話ししましたが、全社のパソコンを同時に全部入れ替えるのは至難の業です。
機器の陳腐化・劣化を考えて、4~5年周期で社内のパソコンが全部入れ替わるくらいでパソコン更新を計画化して、承認を得ておく必要があります。

必要なスペックをある程度パターン化して近いスペックのもので調達するように計画していきますが、期間を開けすぎるとモデルが変わっていたりしてパソコンの機種が不揃いになる可能性があります。
半期~1年に1回くらいの頻度でまんべんなく、というのが理想ではないかと思います。

「まだ動いているんだから、新しいパソコンなんて必要ない」みたいなパソコンに係る投資に消極的な会社こそ、リースやレンタルなどの経費や損益上のメリットを説くことで話を進めることができるかもしれません。
一度お試しで見積もりを取ってみてはいかがでしょうか。

この記事をシェアする

この記事が気に入ったら
いいね!をお願いします

PC・スマデバカテゴリの最新記事