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前回のおさらい

ハイパーコンバージドインフラの解説をするために、「仮想化」「コンバージドインフラ」「ハイパーコンバージドインフラ」の三段階で説明していっています。
前回は初回ということで仮想化の仕組みと代表的な製品についてお話しました。
まとめるとこんな感じです。

・仮想化:ハイパーバイザーという仮想化OSを使って、1つの物理ハードウェア上に複数の仮想マシンを作って動作させる。
・代表的な製品:VMware ESX、Hyper-V、Citrix XenServer

今回は2回目としてコンバージドインフラ(以下CI)についてお話していきます。
この辺から結構話が複雑になってきます。

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仮想化を実現するためのハード構成

ハイスペックサーバを何台も買うのは高いし、管理が面倒くさい

仮想化の話の中でも述べましたが、仮想環境を動作させるためには物理サーバにそれなりのスペックが必要になります。
本来は物理サーバ1台ずつで賄っていたものを、何台も束ねて動かすのですからパワーは確実に必要です。CPUの処理速度、メモリ領域だけではなく、データを保存するハードディスク等のストレージ領域は、無駄を無くせるといっても結構な容量を必要とします。

ハイスペックで大容量のストレージが搭載できるサーバを導入すればいいのですが、当然費用がかかります。
今後の拡張性などを考えると、ハイスペックなサーバを何台も稼働させるのは難しいですし、結局サーバ台数が増えることになります(しかも管理が難しいサーバが)。ハードディスクが多数搭載できるということは筐体のサイズもそれだけ大きくなるので、スペースの問題も残ってしまいます。

アプリケーションサーバとストレージを分離してしまえ!

この問題を解決するためには、タイトルの通り、アプリケーションサーバとストレージを別々にする方法があります。
サーバは処理性能だけあればよくてストレージは最小限に、記憶域は大きめの専用ストレージを別途導入して、各サーバが共有してストレージを使用するという方法です。

ストレージとサーバ間のネットワークを「SAN(StorageAreaNetwork)」といい、ファイバーチャネル(以下FC)という光ケーブルを利用した大容量データ通信が可能なケーブルを利用するのが一般的です。

これにより、ストレージの容量さえ十分確保しておけば、アプリケーションサーバは比較的単純な構成で小さいサイズに収めることができ、且つスケールアウト/スケールインも容易になるように見えます。

SANを構成するデメリット

ただこの構成ももちろん万能ではありません。一番の問題はSANという通常のLANとは異なるネットワークです。
サーバとストレージをFCで接続するのは、LANのようにとりあえずケーブルをポートに刺せばなんとなくつながるというようなものではありません。スケールイン/スケールアウトの度に設定が必要で、実は言うほど楽でもありません。

また、サーバ、専用ストレージ、FCと、設備が3つに分かれるため、それぞれ個別に導入、設定が必要だったり、個々のサポートは受けられてもSANとして構築した上でサポートを受けるのは、原因の切り分けが必要だったりして難易度がさらに高くなります。
私もサーバ単体のキッティングやLAN設定、1台のハードの中だけでハイパーバイザを動かす仮想化まではなんとか経験がありますが、SANは全く触ったことがありません。
製品同士の接続時の挙動等も、どこまで保証されているか確認が必要です。
もしかしたらうまいこと接続できない組み合わせになってしまっているかもしれません。

CI=サーバ、SANスイッチ、ストレージを纏めてパッケージ化

そこで登場したのがCIです。CIは簡単に言うと「サーバとストレージでSANを組んだ状態で纏めておきました」という製品です。ラックに詰めた状態で売っていることもあります。

CIのメリットは、最初からSANが構築されている状態でサーバ、SANスイッチ、ストレージが提供されることです。構築の手間とSANを構築するための専門的な知識が不要になります。

また、所謂パッケージ化された製品なので、サポートはパッケージ全体を対象としたものになりますし、製品間の整合は保証されたものになります。

CIの代表的な製品

CIの代表的な製品をいくつか紹介します。

HP Converged System

ヒューレットパッカードが提供しているCIの製品群です。利用目的を(1)仮想化基盤、(2)ビッグデータ、(3)モビリティ、(4)クラウドの4つに定義し、それぞれに基盤となるアプライアンスを提供しています。

PowerEdge VRTX

Dellが提供するCIの製品です。普通のオフィスの電源でも動作し、騒音が少なく冷却性能も良い、且つ省スペースということで、サーバ室のような設備のない支店や営業所のような場所でも設置することが可能な製品です。

Vblock

VCEが提供するCIの製品群です。CiscoのCPUとスイッチ、EMCのストレージを使い、ハイパーバイザにVMwareを利用しています。要件により構成を変更することができ、主に大規模システムに向いているといえます。

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中締め

CIの課題

CIはサーバ、SANスイッチ、ストレージを統合してパッケージとして製品化したものです。
つまり中身としては個々の機械が存在しており、製品サポートを受けないと運用が難しい面もあります。
また比較的大規模な製品が多く、中小企業での導入にはハードルが高いものでもあります。

先に説明してしまいますが、これらの課題を解決したのがハイパーコンバージドインフラ(以下HCI)、HCIはCIの上位互換なわけではなく、むしろ簡易版・廉価版と思ったほうが良いと思います。
デスクトップ仮想化やプライベートクラウド等、大きなストレージ領域や高い処理性能を必要とする場合には、CIが向いている場合があります。

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