スマホ導入でまず検討すべきこと | 社有携帯スマートフォン化

イントロダクション

ITの新技術、新サービスは日々生み出され、あっという間に世の中に広がります。
「うちは関係ない」「もうちょっと様子を見てから」が通用しないものもあります。

代表的なのがWindowsやOfficeといったMicrosoft製品です。

Windows7の延長サポート終了を2020年1月に控え、今年あたりから切替が本格化しそうです。
Officeは昨年Office2007の延長サポートが終了しています。

こうしたものの一つに携帯電話があります。
2014年には携帯電話契約台数の50%以上がスマートフォン(以下スマホ)になりました。
NTTドコモのフューチャーフォン(以下ガラケー)出荷は2016年に終了。

当然、この影響は個人だけはなく、法人にもやってきます。

尚、業務の秘匿性の問題から今回の話は一部フィクションの部分もあります。
話の大筋自体は私自身の経験したもので、基本嘘ではありません。
しかし利用しているサービス等から身バレしてしまうといけないので、その点はご容赦願います。

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情シスと携帯電話

ガラケー時代の平穏な日々

社有携帯がガラケーだった頃、情シスにとって携帯はさほど手のかかるものではありませんでした。
もちろん各社で状況は異なると思いますが、少なくとも私はそうでした。
携帯電話に関する業務は大体以下のようなものでした。
尚、私の会社は法人向けのレンタルサービスを利用しています。

・新規契約時のキャリアへの申込みと内線化サービスでの内線番号紐付
・故障、紛失時のレンタルセンターへの連絡
・端末棚卸しと契約内容のチェック
・解約と内線番号のリリース

日常的な業務といえば、故障携帯をキャリアに連絡して代替機を送ってもらうくらい。
入退社が頻繁でなければ、さほど触れる機会もありませんでした。

スマホの波がやってきた

平穏な日々の終焉

そしてその時はやってきます。
レンタル契約更新を前にして、キャリアの担当者が持ってきたのがスマホでした。
直近の利用状況の資料も一緒に持ってきて、「スマホで更新するほうが安い」と言われました。

スマホでない場合でも既にガラケーは存在していません。
OSがAndroidだけど形がガラケーの「Androidフューチャーフォン」(以下ガラホ)はあります。
中身はどうあれ、基本ガラケーと同じ操作性で、料金プランもガラケーと同じでした。

スマホのほうが安いって、どれくらいなのかと思ったら、あっとびっくりすごくお安い。

※キャリアやプラン、提案内容により違いがあり、スマホ更新が必ず安いわけではありません。

あっという間にスマホ導入決定

私の会社ではGoogleの法人向けサービス「GSuite」を利用しています。
メールはGMailだし、ドライブもスケジュールも(私は)使い倒しています。

提案されたスマホはAndroid。
Googleのサービス同士、親和性はとても高いです。

 

経営層は考えました。

「安くなるうえに、営業が出先でGMailを見ることができる」

ほぼこの一点だけで、私から何か提案するより前にスマホ導入で話が進み始めました。

ファイル転送サービスの話では「稟議を通すのに説得が必要」と言いました。
しかしものによってはこちらの検討より前に導入ありきで話が進むこともあります。
こちらのほうが厄介な場合もあり、まさに今回はそれでした。

私の個人所有の携帯もAndroidスマホではありますが、個人利用と法人利用は全く別の話です。
そもそも導入のために何を決めていく必要があるかから検討がはじまりました。

全部スマホにするべきなのか

そもそも携帯はどんな使われ方をしているのか

まずはじめに着手する必要があるのは、更新台数の確定です。
導入に向けて契約を締結しないといけないわけですから当然といえば当然です。

「更新対象の台数全部スマホにすればいいじゃん、安いんだし」

と誰かに言われたわけではありませんが、発想のスタートはそこになります。

そこから「スマホにしたら困ることってなんだろう」に発展します。
更新前の携帯電話はガラケーです。電話とメールが主な機能になります。
どちらもスマホで行うことができますからそこは問題なさそうです。

次に運用方法です。ここで「困ること」が出てきました。
私の会社では携帯電話に内線番号を割り付けるサービスを利用しています。
ガラケー時代の携帯電話に関する業務に「内線番号紐付」とかサラッと書いていました。
つまり内線用の電話機でもあるのです。

営業職の場合、外出先でもお客様や取引先と連絡するので携帯電話は常に持ち歩きます。
しかし内勤の多い職種の場合、机の上の充電器に接続して置きっぱなしが多いです。
実は内線サービスの利用に伴い、私の会社には固定電話機がありません。
よって固定電話のようにオフィスの机の島で1台の携帯を共有している場合があります。

さらに外部に周知している外線代表電話を特定の携帯電話に転送しています。
さっきもいいましたが、私の会社には固定電話機がありません。
「転送」と言いながら、実質その携帯が外線代表番号として機能しています。

スマホだと困ること、携帯じゃないといけないこと

スマホにして困ることは、「共有利用時のセキュリティ」です。
機能的にはパスワードも共有されるのでセキュリティが低下します。

それより問題視されたのが、物理的なセキュリティです。
共有内線機や代表電話ですから、誰でも手に取れる場所になくてはいけません。
しかしAndroidスマホには標準のスタンドのようなものがありません。
「充電ケーブルを刺してデスクに直置き」になりかねません。
落下による破損、盗難・紛失、同時に導入した同じ機種のスマホとの見間違い等が考えられます。

それぞれカバーを付ける、セキュリティワイヤーを付ける、シールを張る等の対策は可能です。
スタンドだって純正は無いけどサプライヤーが提供しているものはあるはずです。
しかしそこまで考えて思いました。

「そういう電話はもう固定電話機にしたほうがよくないか?」

ところがこれも運用上難しいことがわかりました。
外線代表番号を割り当てている電話機は、部署によっては休日に当番制で持ち帰っているのです。
つまり携帯電話としての移動可用性は損なわれてはいけないのです。

提案、修正、結論

結局以下ルールで更新対象端末を区分してみました。

・共有利用、外線代表番号転送が行われている端末はガラホで更新する。
・それ以外の端末はスマホで更新する。

この案で各部門の上長に更新計画を打診したところ、回答は3種類ありました。

1.この案でいいよ
2.運用が分かれると混乱するからスマホに統一したい
3.スマホはよくわからんから全部ガラホにしたい

1は当初案のままで決定です。
2はセキュリティの問題を説明して、運用ルールを部門で決めてもらって全台スマホにしました。
3は移行したほうが安い、今回良くてもいずれスマホになる等説得し、1か2を選んでもらいました。

本当にあるんですよ、3の場合も。

ということでなんとか更新対象件数を確定させると共に、運用方法を明確にすることができました。
この時点でスマホ更新の方針が決まってから約1か月。
既に少し嫌気がさしてきていたのですが、こんなところはまだ入り口でした。

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中締め

記事の内容がこれまでの技術紹介寄りから体験記的なものになっています。

法人向けスマホで提供されるサービスなんか調べればいくらでもあります。
しかし実際に導入する上でのノウハウは企業内、担当者内で閉じてしまっています。

知識や経験、事例を共有するのがナレッジです。
今回は「経験」「事例」に重きを置いてみました。

しっくりくる伝え方をまだまだ模索中です。

参考にしたサイト

インターネット白書2016 製品技術関連統計資料

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